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これか夏にかけて家の中に侵入してくるのはハエ。実はこのハエについて、死んだ仲間のハエを見るとその寿命が大幅に縮むという研究が報告されています。

PLOS Biologyに掲載されたミシガン大学分子統合生理学の研究者が行った内容によると、キイロショウジョウバエ種であるショウジョウバエについて、死んだ仲間の死骸に晒されると寿命が大幅に縮むことが示されたとしています。

Seeing Dead Flies Makes Other Flies Die Faster, But Why? : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/seeing-dead-flies-makes-other-flies-die-faster-but-why
Ring neurons in the Drosophila central complex act as a rheostat for sensory modulation of aging | PLOS Biology
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3002149

なぜこのような研究を行ったのか、学者らでは通説としてこれまで同様の研究が報告されていたのかは不明ですが、研究結果として死んだハエが近くにいると何故か行動が鈍るようになり(記事では引きこもりの行動をとる)、結果、食欲が無くなるためか体脂肪が減少した挙げ句、他のショウジョウバエよりも早く死ぬところまで老化が加速するとしています。

死んだ仲間とハエの行動

何故ハエはこのような異常な行動をとるようになるのでしょうか。科学者らの研究によるとショウジョウバエが死んだ仲間を認識すると脳の神経伝達物質であるセロトニンを受け取る2種類のニューロンが活性化され、引きこもり行動の増加によってハエの老化プロセスが加速されるとしてります。

研究チームのこれまでの研究によると同じ種のハエの死骸を認識することでショウジョウバエに明らかな影響を及ぼし、衰弱して早期に死ぬことを示していることを徹底的に実証したもののその理由は不明だったといいます。

分かっているのは神経細胞間で信号を運ぶ重要な神経伝達物質であるセロトニンとセロトニンの受容体の1つである5-HT2Aが関与している可能性があるとしてます。研究者らはここから開始し脳内に「死の知覚」と呼ぶものに物理的影響に関与している可能性があるかを調査しました。

次にハエが仲間の死骸を見たときに脳のどの部分が反応するのか観察。結果、死んだハエを見るとニューロンを活性化させ始め、R2とR4と名付けられた死の知覚と同じ効果を持つ2つのニューロンを発見することができたとしています。

そしてこの2つのニューロンを研究者が刺激させた結果、ハエの死骸を見ていなくても寿命が縮むことがわかったとしています。