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新型コロナに感染したあと後遺症として「集中できない」「霧の中にいる感じ」という症状が相次いで報告されていました。これら症状に関係しているのは不明ですが、相関拡散イメージング (CDI) というMRI技術で感染により小脳に変化が見られたことが初めてわかったと発表されています。

ウォータールー大学は新型コロナウイルス感染症によって引き起こされたこれまで目に見えなかった脳の変化について相関拡散イメージング (CDI) として知られる革新的な MRI 技術を用いた結果、脳の白質内にある水分子の拡散における明確な変化が明らかになりました。

Unmasking COVID-19's Impact on the Brain - Neuroscience News
https://neurosciencenews.com/neuroimaging-brain-covid-23461/

Feasibility of diffusion‐tensor and correlated diffusion imaging for studying white‐matter microstructural abnormalities: Application in COVID‐19 - Teller - 2023 - Human Brain Mapping - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/hbm.26322

このCDIというMRI技術はがんを検出するためのより優れた画像測定を行うために開発されたもので、人体組織内の水分子が移動する方法の違いをより明確に強調できる新しい形式のMRIです。そのため今後、認知症やガンなど調べることができるようになるとされています。

このCDIを用いて新型コロナにおける脳の変化を調査しました。結果、新型コロナウイルス感染症により脳の白質を変化させていたことがわかりました。この白質というのは脳の中心部が他の部位よりも白く見え部分でここに変化がでるというものです。

脳の前頭葉白質のCDIイメージングを行った結果、新型コロナウイルス感染症患者における水分子の拡散があまり制限されていないことが明らかになりました。同時に新型コロナウイルス感染症患者の小脳では水分子の拡散がより制限されていることも示されたとしています。

つまり新型コロナに感染した場合、前頭葉はそれほど変化は見られなかったものの小脳では明確な差が見られたというものです。つまり新型コロナに人体は小脳が脆弱であることがわかったことと、感染により脳に変化を引き起こす可能性があるという考えを裏付ける証拠が得られたとしています。

新型コロナによる小脳の白質における拡散異常を初めて報告した研究であり、新型コロナウイルス感染症による脳への特定の損傷ではなく、変化を示すことを目的としているものの、最終報告書としてはそのような変化の潜在的な原因と、その多くが病気や損傷との関連性について論じています。

研究者によると今後の検査では新型コロナウイルスが実際に脳組織にダメージを与えるかどうかに焦点を当てる可能性があるとしており、脳の灰白質も変化させる可能性があるかどうかも判明する可能性があるとしています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。