航空機の飛行前検査はいったいどのくらい行われているのか？これは旅客機やその他の戦闘機でも同じだと思うのですが、今回は航空軍需大手のボーイングがC-17という大型の軍用輸送機の検査を迅速に行える方法を研究している内容です。

Autonomous drones may help Air Force slash aircraft inspection times
https://www.defensenews.com/unmanned/2023/06/28/autonomous-drones-may-help-air-force-slash-aircraft-inspection-times/

ボーイングはドローンで有名な開発企業ニア・アース・オートノミーと協力しドローン、人工知能、クラウドの連携を組み合わせることで航空従事者が行っている検査時間を大幅に節約する実験を行っています。

具体的には磨耗の検査にかかる時間を短縮するというもので、目視や手で検査が難しく機体上面などにドローンを飛行させ自律検査を実施。撮影した映像を元に自動損傷検出ソフトウェアと組み合わせることで航空機の外装の欠陥を整備者に通知するといいます。つまり亀裂や塗装のハゲがあれば何かがぶつかったり機体が消耗していることの証拠でありその結果を人間に伝えるというものです。

問題なのはこれまで人で行っていたこれら作業は最大で4時間ほどかかったといいます。もちろん熟練した人であればもっと早く済むと考えられるのですが、ドローンのAI技術を用いることで目安として30分程度で飛行前検査を終わらせることができるとのこと。

信頼性は？

ドローンを用いた外壁などの点検は民間では橋などの建物で行われています。問題なのは人間が直接目で観察するのと、ドローン映像で撮影し診断したもので差が出てしまうのではないかという懸念です。

これに関してボーイングが行った試験ではドローンとAIを用いた場合76～78％で損傷を検出出来たといい、同じ試験を人間が行った場合は50%らしく、むしろ信頼性はドローンの方が高かったとしています。

ボーイングとしては機体の番号を取得しその航空機の3Dモデルから任意の場所をクリックするだけで、正確な部分の画像の履歴をみることができかつ世界中のどこからでもアクセスできるようなシステムを構築するとのこと。

つまり担当者が変わったとしても機体のダメージなどを引き継ぎが容易であり、不良箇所の見落としや見過ごしの発生を減らすこともできると考えられます。