image182
@InfographicTony
民間企業『スペースX』のイーロン・マスク氏は同社が開発している超大型ロケットスターシップに関してロケットを燃焼したまま上段を発射するホットステージングを導入する計画について説明しています。

現在スターシップ2号機の打ち上げを進めているアメリカのスペースX。世界最大の打ち上げ能力のあるロケットの試験で注目されているのですが、このスターシップに関してホットステージングという方法で打ち上げる可能性について語ったと報じられています。

What SpaceX Starship Will Look Like When Hot Staging | NextBigFuture.com
https://www.nextbigfuture.com/2023/07/what-spacex-starship-will-look-like-when-hot-staging.html

▼参考CG


ホットステージングとは何か。こちらの動画がわかりやすいのですが、第2段エンジンは一般的に下段の第1段エンジンが燃焼終了後に上段を燃焼開始するのですが、ホットステージングでは第一段が燃焼終了する前に第2段の燃焼を開始するというものです。

これで生まれてくる利点は何なのか。それは打ち上げ能力の増加です。ロケットのスペックで重要な要素は何キロの重量を宇宙に打ち上げできるのかです。この打ち上げ能力に関して、イーロン・マスク氏によると、スターシップに仮に導入した場合は10%ほど重い質量を打ち上げることができるようになると見解を示しています。

単純にスターシップの打ち上げ能力は250トン(完全再利用)となっており、275トンまで増えることになります。この25トンの量はファルコン9ロケット1.4機分に相当する量であり例えば、衛星であればより大きいものを複数載せたり、衛星寿命となる燃料をより大型のものを搭載できるなど、打ち上げを依頼する顧客にとってもメリットが大きくなります。もちろんスペースXとしても大量の物資を余分に積むことができるため経済的にも利益率が大きくなると考えられます。

ホットステージングするスターシップのイメージ

問題のデメリットについては記載がなくよくわからないのですが、単純に考えると1段目と2段目の間、特に1段目の上面にヒートシールドのような熱を避ける構造を作らなければならず、重量が増すという問題があります。

image181

ホットステージングはロケットの第1段と第2段の切り離し部分に設けられてます。ただこのような打ち上げを行っているのはロシアのロケットがほとんどで西側では採用されていない傾向があります。

このような構造については接続強度の問題や耐久性の問題が出てきそうなのですが、製造するにもコストがかかるため10%の打ち上げ重量は増したとしても打ち上げコストは若干高くなることは避けられないと考えられます。