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地表温度460度、地獄のような温度になっているのは金星です。一方で2020年に金星の上空で地球上では微生物により作られる『ホスフィン』というガスが検出されたものの否定されていた件について、再びフォスフィンが検出されたと報じられます。

地球上では酸素を嫌う微生物が沼や湿地で作っているのは水素とリンの化合物となるホスフィンという分子です。ただ火山活動や隕石、雷でも自然に発生することはあるのですが、その量は極めて微量です。そんなホスフィンが灼熱の金星で見つかったという話は2020年にはじまります。

この研究は2017年に日本からは京都産業大学が参加したアメリカやイギリスなどの国際研究チームが金星の高度にして地表から60km、温度は30度の大気中にホスフィンが検出されたとして話題になっていたものです。

これは金星に何らかの微生物がいる可能性を示しており、少なくとも金星で想定される自然発生量を上回った量だとされていました。


フォスフィン、再検出される

しかしこの研究は他の研究チームが分析しても検出されなかったり、カーディフ大学の研究者らは金星のマントルに含まれるリン化合物が火山とともに大気中に放出され金星の硫酸と反応した結果フォスフィンが作られる可能性があると指摘されていました。

つまり生物由来ではなく天体由来だということになるのですが、2020年にフォスフィンを発表したウェールズのカーディフ大学のジェーン・グリーブス率いる研究チームが新たにフォスフィンを発見したと発表しました。

今回の研究はハワイのマウナケア天文台、ジェームス・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)を使用したもので、過去に発見されていたよりも深いところ(より地表に近いところ)でホスフィンを発見したと説明しています。

フォスフィンが見つかった場合、地球に当てはめればそこに微生物が存在しうる強い証拠になるのですが金星では必ずしもそうとも言い切れません。グリーブス氏も「リンを含む岩石を高層大気中にまみあげられ、水や酸などで岩石を侵食してホスフィンガスを得ることでホスフィンを製造できるという大きな学説がある」と講演中に述べています。

この研究については現在生物由来なのか金星の天体現状由来なのかは明らかになっていません。謎を解明できる手段の一つとして今後打ち上げあられるヨーロッパのEnVision オービターがあり、降下探査機を搭載し金星の大気を突入する際にその大気を間近で研究します。