SR-71-2

軽量かつ高温に耐えられるチタン。その特性は航空分野などで利用されることがありますが、1960年代アメリカは軍事偵察機を開発するにあたって高品質のチタンをソ連から輸入する計画が進められていました。

アメリカが誇る人が乗り込む飛行機として世界最速の有人偵察機SR-71。現在は運用されていませんが、最高速度がマッハ3以上でこの速度で飛行した場合様々な場所に熱の問題が生じます。

SR-71ことブラックバードはSR-71は1966年1月にカリフォルニア州ビール空軍基地の第4200戦略偵察航空団に就役します。この機体は高高度を高速で飛行することで敵の防空ミサイルを振り切るという思想から生まれたもので、ソ連領空内に侵入しミサイルによる迎撃を受けてもそのステルス性能もプラスし撃墜は免れるという機体です。

しかし機体の92%にチタンが使用されているという非常に特殊な機体設計がされています。これは先程も紹介したように高速で飛行するため摂氏300度~700度にまで加熱されるとされ、自らの機体が溶けないにするためです。
問題なのはアメリカに高品質のチタンを産出する鉱山がなく当時は輸入する必要がありました。

記事によると1960年代頃チタンの主要産出国はソ連でした。当然核兵器をちらつかせるアメリカがソ連からまともに輸入することは出来ませんでした。しかし機体製造にチタンは必要です。

軽量、高温に耐えるチタンでピザを焼く…?

そこでアメリカはソ連から極秘で輸入することに決定します。
そのままでは輸入できないのでCIAは当時国外に設立したダミー会社のネットワークを設け「ピザを高温で焼くピザ窯に使用するチタンが必要だ!」という名目でソ連に輸入申請したといいます。冷静に考えれば昔から作られているピザにチタンは不要であることは明白ですが、どのようなわけかソ連から輸入することに成功したとしています。

▼ピザ窯で輸入したチタンで作られたSR-71
SR-71

問題はその数です。比較的大型の機体となるSR-71に使用されるチタンの量は多く、なんと数千基分のピザ窯を作れる量を最終的にソ連から輸入することに成功していたといいます。これもおかしな話ですが、記事によるとソ連人はこの作り話を簡単に信じだらしく「米国はおそらく自炊すらできない怠惰な国なんだろう」と思い込んだ可能性があるとしています。

ソ連人としてはそのチタンがSR-71として世界最速の航空機としてソ連領土上空に侵入する敵機になるとは知ることもなく、携わるアメリカ人もごく一部のその除き知ることは無かったということになります。