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高速の環境を地上で再現する風洞。特にロケットや戦闘機といった航空宇宙分野で利用されているのでwすが、中国が開発したJF-22超高速風洞でスペースプレーンとする機体の試験を行っている様子が報じられました。

こちらの映像は中国国営のCCTVが最近放送したもので、正確な名称は不明ですがJF-22超高速風洞などと呼ばれています。運用しているのはCAS、中国科学院の力学研究所の衝撃波風洞研究チームでこの風洞は世界最速となる大気圏内の飛行環境を再現できるというものでその速度はマッハ30、毎秒最大10kmとなります。

China's New Mach 30 Wind Tunnel Tests Space Plane Mothership Design
https://www.thedrive.com/the-war-zone/chinas-new-mach-30-wind-tunnel-tests-space-plane-mothership-design

『秒速10km』というのは国際宇宙ステーションの軌道上の速度となる秒速7.9km程度を上回っており、むしろ第2宇宙速度、つまり地球の重力を振り切ることができるマッハ33に近い速度となっています。なぜこれほどの速度をわざわざ大気圏内で再現しようとしているのかは不明です。


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こちらがその試験映像です。予想ではこれはマッハ30で行った試験ではなく、マッハ10前後の極超音速ではないかと考えられます。

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この機体に関しては記事でも紹介されているように2019年に中国航空宇宙航空力学研究院 (CAAA) が発表していた機体に似ているとしています。

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この風洞は全長167メートルあり、直径は最大で4メートルあります。2022年頃に完成予定と過去に報じられており、現時点で試験可能な段階に入っていると考えられます。


何に使うのか?

研究チームは「JF-22の研究目的は地上と宇宙の往復技術分野(つまりスペースプレーンやロケットの回収、弾道技術)における主要な国家の政策に対応するものです。空気力学の探求および超音速飛行技術の実験研究に使用される」としており、このプロジェクトの責任者とする姜宗林氏に「JF-22風洞の目標は、地上と宇宙の往復可能なシステムを補助するもので、もし成功した場合、衛星と宇宙船の発射コストを90%削減することができるでしょう」と語っています。

つまりスペースプレーンを開発する目的で建設したという理由があるのですが、実際はそれは表向きの表現であり背後には間違いなく軍事利用もあります。これは確実です。そもそも現代の世界的な技術水準を見た場合、このような極端な技術というのはまずは軍事利用以外での運用というのはほぼありえません。