新型コロナが流行して3年。少なくとも21世紀に入ってから地球上で最大の集団感染となり、高齢者らを中心に少なくとも700万人あまりが死亡したとされています。もちろん老若男女問わず多くの人が感染したものの、その中で注目されていたのは感染しているにも関わらず咳などの症状が全く出ない無症状感染者です。

COVID-19 Super Dodgers: The Genetic Secret to Asymptomatic Infection - Neuroscience News
https://neurosciencenews.com/covid-19-genetics-symptoms-23664/

People Who Don't Get COVID Symptoms Share a Common Feature : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/people-who-dont-get-covid-symptoms-share-a-common-feature

一方は呼吸器が必要なほど悪化するものの、もう一方は発熱すらしない…。なぜこれほどの差が生まれるのか。カリフォルニア大学サンフランシスコ校 (UCSF) が行った世界的な研究成果として、新型コロナウイルスに感染し無症状だった人、さらにそのうち5人に1人からヒト白血球抗原『HLA- B*15:01』という遺伝子に変異型を持っていることが分かったとしています。

仮にウイルスに感染したとしても人体危険な状態に陥らなければ問題はないということになるのですが、なぜHLA- B*15:01の遺伝子を持っている人は無症状でいられるのか。

医学的な言葉多く難しいのですが、まず無症状感染者についてはヒト白血球抗原（HLA）をコードする遺伝子に変異(HLA- B*15:01のこと？)を持っている可能性が2倍以上高かったといい、この遺伝子変異体を持っている人はウイルスの細胞への感染を妨げるものではないものの咳や発熱といった症状の発現を防いでいるとのこと。つまり感染はしているものの症状がでない無症状感染者となります。

ヒト白血球抗原 (HLA) の遺伝子変異はウイルスを殺すT細胞が新型コロナウイルスを正しく識別し攻撃を開始するのに役立っていたと考えています。新型コロナウイルスに初めて遭遇したとしても既存の季節性の風邪ウイルス(つまり普通のコロナウイルス)に類似していたため、T細胞は「これ敵じゃないないか？」と新型コロナウイルスを識別することができ効果的に攻撃することができました。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校ワイル神経科学研究所は「敵を早期に認識できる軍隊(T細胞)を持っていれば大きな利点です」と話してます。

HLA- B*15:01の変異持っている人は今回研究を行った約10人に1人見つかっているといい、ウイルスが細胞に感染するのを根本的に防ぐのではなく、何らかの症状を発症するのを防ぐことができるといい例として鼻水など目立たない喉の痛みも含まれるとしています。

この研究成果は無症候性の新型コロナウイルス感染症の背後にある初めての遺伝学的証拠を提供しているもので、将来の治療薬やワクチンの新たな標的を明らかにする可能性があると評価しています。