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人がすっぽりと入り込むことができる塹壕。これにより敵の砲弾や銃弾から身を守ることができるのですが、ウクライナ侵攻では双方が塹壕に身を潜めるなど、今から100年ほど前の第一次世界大戦レベルの塹壕戦が見直されていると報じられています。

第一次世界大戦といえば非常に長く伸びた塹壕が築かれ、双方が距離を置いてにらみ合うということが続いていました。その後の第二次世界大戦でも塹壕は利用されていたのですが特に近年の戦争では塹壕戦というのはそう見られるものではなありませんでした。

一方で世界でもっとも実戦経験があり世界最大の軍隊を有するアメリカではどうなのか?実はアメリカでも塹壕を作ったりそこで戦う訓練とし今も使用はされているといいます。

最近、ジョージア州陸軍州兵の第177工兵支援中隊 (ESC) の隊員が塹壕を掘削している写真がSNSに投稿されました。これは6月に行われたもので訓練されたフォート ムーアは国内の陸軍内の5つの基礎訓練拠点のうちの1つで、歩兵学校と機甲学校の本拠地になっているとしています。

Trench Warfare In Ukraine Casts Old School Army Training In Different Light
https://www.thedrive.com/the-war-zone/trench-warfare-in-ukraine-casts-old-school-army-training-in-different-light

▼米軍の塹壕訓練


つまりアメリカ軍は今も塹壕を効率的に設営する訓練が行われているということになります。
詳しくはフォートムーアでのこの塹壕については「ファースト100ヤード」訓練をサポートするために建設されたと伝えられています。

これは一体何かというと2020年頃まで陸軍歩兵学校は新任士官候補生への初日の挨拶で「サメ攻撃」ということを行っていました。これは映画やドラマで見るような、軍曹が士官候補生に大声で罵声を浴びせるというそのような精神的な訓練が特徴だったものの、今は行われてはおらずファースト100ヤードというこの新しい初任訓練方式に置き換えたとしてます。

ファースト100ヤードとは何を行うのかというと、「模擬戦場補給任務、体力づくりの課題、歩兵が戦闘で使用する武器・装備方法のデモンストレーション」という非常に基礎的な訓練内容になっており、課題の目的の一つとして士官候補生間ら友情を即座に育て、士官への信頼を促進、一般的な軍事規律の感覚を与えることです。

このファースト100ヤードの由来とは塹壕のことで塹壕から抜け出し敵地に進むということを意味したことば「塹壕を離れるということは自分自身を信じた、ということだ…さらに重要なことに塹壕を離れるということはチームメイトも信じたということだ」と上級練兵曹長は説明しています。

現代戦と塹壕

では高度に発達した戦闘が行える現代に塹壕はどのくらい有効なのでしょうか。2003年の米国主導で初めたイラク侵攻でもイラク軍が作った塹壕線があったものの、いずれの場合も多国籍軍の侵攻速度を遅らせることはほとんどなかったとしています。

しかしこのウクライナ侵攻ではロシアが築いた塹壕でウクライナ側の反撃に特に問題のある障害になっているとしています。したがってこの塹壕については大規模な紛争における主要な特徴であり続ける可能性があるとしており、米陸軍と軍隊にとって引き続き重要な訓練になっているとしています。