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先日、韓国のクォンタムエネルギー研究所が発表したLK-99という『自称』常温・常圧超伝導体について当初から論文が2つ提出されるなど不可思議な問題について、研究者間で対立や何らかの不正があった可能性があると報じられています。

自称常温超伝導体LK-99は韓国の高麗大学校の付属研究機関「クォンタムエネルギー研究所」に所属する研究チームが、2023年7月22日にarXivに掲載された論文が今回の騒動になっています。
このarXivは公開するに値する論文なのか、例えばサイエンスなどは編集者らが論文を事前に評価・批評したうえで掲載されるのですが、arXivはこれが行われていない要は研究が無審査のものがとりあえず掲載されるというものです。

しかしLK-99論文について、2つ掲載されるという不可思議なことが発生していました。最初に投稿されたのはクォンタムエネルギー研究所のクォン・ヨンワン研究教授とイ・ソクベ代表、キム・ジフン研究所長ら4人が著者とする論文を掲載。

その2時間20分後にはイ・ソクベ代表とキム・ジフン研究所長、ウィリアム・アンド・メアリー大学の韓国人ら6人が著者とする論文が掲載されていました。

問題なのは最初のクォン・ヨンワン研究教授が掲載した論文で、所属するクォンタムエネルギー研究所と両方の論文に名前が記載されているキム教授は「クォン教授が他の著者に同意なく勝手に論文を載せた」と主張しているといいます。

このことを受けて研究所が属する高麗大学は他の著者の同意なく掲載したという疑惑に関する情報提供を受けたとし、早ければ今週中にも予備調査を実施するとしています。この予備調査では半年以内に不正行為があったかも判定するとしています。

なぜこのような事になったのか。理由は誰がこの論文を提出したのか、中心的な研究者なのか名誉や地位にあった可能性が高い見方が強いと考えられます。

キム教授らが2時間後に提出した論文について、キム教授によるとそもそも自称常温超伝導体LK-99の研究について、クォン教授の寄与度が制限的だとし彼の名前を外す考えがあったらしいのですが、他の研究者は入れたほういいのではないかという対立があったといいます。
しかしクォン教授が「時間がほしい(なんの?)と要請した中」、他の著者が(彼の名前を外すことを?)同意したことでクォン教授の名前を外してキム教授らは別の論文を発表したということになります。

LK-99の今後

LK-99については確かに不思議な物質であることは間違いないものの、現時点では12を超える著名な研究室が、超伝導を全く観察できなかった結果を発表しており、常温・常圧超伝導体ではないと主張しています。

学術誌で有名なサイエンスも「一部の物理学者は非常に懐疑的であり、論文について『アマチュア』のようだという指摘している」と説明しており、LK-99については現時点で超伝導体とは言えないといとされています。