image284

アメリカ、イリノイ州にあるカホキア。アホキアは9世紀頃から多いときは人口1万人を数えるこの地域の中心的な都市となっていたのですが、16世紀には完全に消滅しました。なぜ長期間維持された都市は突如として放棄されることになったのでしょうか。

結論から先に紹介すると現時点よく分かっていません。

カホキア墳丘群州立史跡としてイリノイ州の保護下にあるカホキアは北米で最大級の集落跡としてしられており、推定で9世紀から14世紀ごろのアメリカ先住民族らが12世紀ごろに最大で1万~1.5万人が居住していたと考えられています。

その中心にはマウンドと呼ばれる台形の丘が築かれ、高さ30m、長さ316m、幅241mのありこれは有力者の墓にもなっており高度に加工された副葬品も確認されています。

ここからも当時の様子が伺え知ることができるのですが、都市は15世紀頃に入ると徐々に衰退しはじめ16世紀になると完全に消滅しそして現在に至ります。問題なのはなぜ当時中心的だった都市が放棄されたのかです。

The Mysterious Lost City of Cahokia Was Abandoned, But Why? : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/the-mysterious-lost-city-of-cahokia-was-abandoned-but-why

環境災害説ではない

最新の研究として2021年で、カホキア周辺の土地の森林伐採と乱用が過度の浸食と局地的な洪水を引き起こし、ネイティブアメリカンが住みにくくした、というこれまでの考えについては誤りだったことが明らかになりました。

image285
Photo:カホキア塚州立史跡で発掘調査を行う考古学者のケイトリン・ランキン

これは遺跡近くの土壌コアを分析した結果、カホキアの全盛期から1800年代半までの地層にそのような痕跡が確認されなかったことです。

確かに当時のカホキアでは住民の生活を維持するため、都市を防衛するために自然の素材である木が多く伐採されたことは間違いないとされています。しかし、この伐採が原因で洪水被害を引き起こし人々が都市を去ることになった洪水の痕跡などは見られなかったとしています。

ヨーロッパからの入植者説でもない

アメリカ大陸といえば大航海時代などにヨーロッパからの入植者が病気を広めたという病気説などがあるのですが、古代の人糞を分析した結果などから、少なくとも衰退を始めたのはヨーロッパからの入植者が到着し始めるずっと前であり、ヨーロッパ人の入植者やこれら伝染病説でもないとしています。

カホキアは従来の定説によると、人口過密と伝染病が理由で15世紀半ばから衰退し始め16世紀には消滅したといい、最盛期は12世紀頃だったということから徐々に時間を掛けて衰退していったことが伺えます。理由としては地球規模の環境変化や移り変わる政治や思想、暮らし、習慣、対立、宗教など何らかの衰退の引き金になるあった可能性が考えられるのですが、長期に維持された都市がなぜ衰退したのか記録が残されていないらしくよく分かっていません。