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敵国が発射した弾道ミサイルなどを迎撃するといして設置が検討されていた地上配備型のイージス艦こと『イージス・アショア』。廃案となった現在、その代替案として船を建造することになったのですが、大量のミサイルで武装したイージス艦の建造コストが1500億円以上も爆増し3950億円という極めて高額になっていると報じられています。

設計がザルレベルだったことなど国民から批判が相次ぎ、さざまな理由もあって結果的に廃案となったイージス・アショア。イージス・アショアとは単純に言えばイージス艦の防空能力をそのまま地上転用し弾道ミサイルのを迎撃するミサイルの発射や探知拠点にするようなイメージです。

▼地上配備型のイージスシステム、イージス・アショア
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しかし日本ではあまりに稚拙でザルな設計を提示したことで批判が相次ぎ、結局性能面などでも再検討した結果船として配備することを決定。これが今回紹介するイージス・アショア代替艦です。

ここでは名称が決まっておらずイージス・アショア代替艦と表現するのですが、スペックについては海上自衛隊で配備している最大の『まや型』イージス艦を上回ります。サイズについては全長が210メートルとなり、まや型イージス艦を40メートルほど長くしたものになります。そして幅です。幅はまや型が21メートルに対してイージス・アショア代替艦は倍近くの40メートル以下となっています。

▼海上自衛隊としては最大のまや型イージス艦、目安として40m長くして横に2倍のサイズになる
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イメージとしてはまや型を長くして横に2つ並べたサイズ感ということになるのですが、この規模は現在海上自衛隊が配備している最大の護衛艦(強襲揚陸艦)となる出雲型よりも全長は40m程度短いものの基準排水量が約2万トンとされほぼ同等と考えられています。

<独自>イージス搭載艦、1隻あたり3950億円 - 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20230812-WMIOWJVAQBPRRIBMUSZKFZXDCQ/

前置きが長くなりましたが、問題はこのイージス・アショア代替艦の建造費コストが高騰していることです。理由は円安が単純に考えらるのですが、レーダーなどはイージス・アショア時代に調達済みのものを使用するとしておりそれ以外の装備でコストがかかっているということになります。

防衛省によると当初、2404億円を計上していた事があるらしいのですが現在は3950億円と1546億円も増額している計算になります。この1546億円についてはいずも型護衛艦の1隻の建造費を超える額となっており、イージス艦1隻分の建造コストがいずも型護衛艦2~3隻分のコストと同等ということになります。

そもそもこのイージス・アショア代替艦が日本の国土を守るために2隻で足りるのか。他のイージス艦と連携した上で配備することになるのですが、船であるためメンテナンスが必須でありメンテナンス中は戦闘することができません。つまり無力化されるということです。防衛能力に穴が開く可能性がゼロではなく、敵からすると艦艇が使用できない防御力が弱まった時に攻撃することは当然考えれます。

それならば同じ攻撃能力がある既存のイージス艦を逆に大量建造したほうがコストも下がり防衛面で有利ではないのか…という主張にもなってきそうなのですが、そもそも募集しても集まらない隊員の問題があります。もちろん教育の問題、整備拠点の問題…メンテする人も云々…と、私達の目に触れることはない人や金銭的な問題が発生してしまいます。

何れにしてもこのイージス・アショア代替艦が予想では最適解だったということになるのですが、イージス・アショアを否定した私達国民に突きつけられたのは逆に超高額となり運用面でも若干の懸念が残る代替艦とその建造コスト…そしてこのイージス艦をイベントなどで見ることができる時代に生まれてこれたという点です。

ちなみに日本に配備されるはずだったイージス・アショアは2基でわずか21億5000万ドル(当時の日本円にして2350億円)となっており現在は1隻の建造費だけで上回っています。