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かつて人類を大量に死に追いやったペスト菌。黒死病とも言われヨーロッパでは最大で60%の人口が死亡したとされる致命的だった菌に関して、先日中国とモンゴル地域で発生したと報じられています。

中国の新華社通信やロイター通信が報じた内容として、ペストが発生したのは中国北部に位置するモンゴル自治区およびモンゴル国内で動物から感染したことが強く疑われるとしています。

記事によると、まず中国では今月7日にペストに感染した患者が見つかったとしており、その5日後に2人の家族からも発見されたとしています。発見という表現については発症したのかは不明です。この家族らについては濃厚接触者として全員が隔離されたとしています。

一方でモンゴルで8日、時を同じく発生したしたのは首都ウランバートルで3人の感染が発見されました。こちらはについては中国とは異なり状況が確認されており、この3人は全員がマーモット、つまりペスト菌を有する可能性があるげっ歯動物を口にしていたことが分かっています。(モンゴルではマーモットの捕獲などは違法となっている)

この3人についてはどのような症状を見せているのかは明らかになっていないものの、仮に治療方法が確立されいない時代だったら大量感染を引き起こす可能性がある極めて不衛生かつ重大な問題となります。

ペスト菌

現代医療が受けられる地域であればペスト菌を正しく診断することができれば命を落とすことは少ないのですが、それでも致死率を10%以下に抑えることができるというもので通常の風邪に比べて非常に高い数値になっています。

治療開始が遅れた場合など現代でも感染者(発症者)の30%が死亡。さらに症状が進行するとペスト菌が肺に到達し肺ペストとなるのですが、ここまで進行した場合の死亡は最大60%となりエボラ出血熱と同等以上の致死率っとなります。

ペスト

Photo:国立感染症研究所

ペスト菌の感染は動物とヒトの2つです。一つはノミから人に感染する例で、野生のリス、ウサギ、プレイリードッグ、猫、イヌなどペスト菌の感染宿主にノミが吸血しそのノミが人に吸血することで感染します。

更に人人感染としてはペスト患者から感染する例です。これは感染したあと肺に到達した肺ペスト状態になった患者が咳き込むなどしてペスト菌を含む血痰や唾が飛び散ることで肺などの粘膜から侵入し感染します。

症状については一般的にノミや人人感染で発症する『腺ペスト』という症状が一般的です。感染からの潜伏期間は3~7日程度。リンパ節の腫脹に加え、発熱、頭痛、悪寒といった症状をみせ腺ペストに移行します。
この腺ペストの末期となると肝臓や脾臓、そして肺で菌が増殖し肺に感染した場合は肺ペストという症状になります。この肺ペストになると人人感染が発生するもので、肺ペスト患者の咳やくしゃみによって飛散したペスト菌を吸い込んも発病することがあり、14世紀に入って大量感染を引き起こした状態となります。

もちろん現代医学ではペスト菌に対抗できる手段が確立されているため致死率は高いもののかつてののような大規模感染の心配はまずありません。また今回は中国とモンゴルで発生したものの現代もペストによる死者数は毎年900~1000人ほど発生しています。