大型のスペースデブリ

地球軌道上に存在する大小様々なスペースデブリ(宇宙ゴミ)。小さいものでは塗装片、大きいものでは衛星そのものも存在しているのですが、先日スペースデブリを回収するなどと先に打ち上げた捕獲される衛星がスペースデブリになったと報じられています。

欧州宇宙機関によると、2013年にスイス連邦工科大学ローザンヌ校からのスピンオフ企業であるClearSpace SAとおよび産業チームが共同で打ち上げたスペースデブリ除去ミッションを行うClearSpace-1(ClearSpace One)というもので最初に捕獲対象となる衛星VESPAを打ち上げたものの先日、別のスペースデブリが衝突し破壊されたと発表しています。

ESA - Objects detected in the vicinity of ClearSpace-1 debris removal mission target

この内容はESAの宇宙ゴミ対策局が米国第18宇宙防衛飛行隊から報告を受けて初めて分かったものでこの衛星付近で新たなスペースデブリが発生したと報告されたというものです。このミッションではVESPA衛星は2026年に打ち上げるにロボットアームを搭載したスペースデブリ捕獲衛星で捕獲し大気圏内に落下させるというものでした。

▼ゴミになったのは右に見える円錐型の衛星(CG)


VESPAは高度660kmの近地点、790kmの遠地点、傾斜角98.72度の楕円軌道上を周回しており、VESPAに何らかのスペースデブリが衝突したと考えられています。現時点で何が衝突したのかは明らかになっておらず、追跡されていない小さな物体の超高速衝撃だとしています。その結果スペースデブリ回収衛星から新たにスペースデブリが発生したことになるのですが、他のミッションへの衝突リスクの増加は無視できるほどだと主張しています。

ClearSpace-1ミッションは2013年に仏領ギアナのクールーにあるESAの宇宙港からベガロケットが打ち上げられ、軌道上に10年あまり残されていました。重量は113kgで直径2m程度円錐型となっています。

気になるのは今回スペースデブリとなったVESPA衛星が10年間も宇宙で運用されていたのかです。予想では何らかの宇宙サービス展開し利益を得た後回収し落下させるということを行おうとしていたと考えられるのですが記載そのものがなく不明です。

当然長期間宇宙に漂うということはスペースデブリと衝突する機会が増えることになるのですが、なぜもっと短期間ミッションを終わらせようとしなかったのか。ゴミがゴミを生む例となったのですが運用元がどのような説明をしているのかは不明です。