
認知症を引き起こすアルツハイマー病。何らかの原因により脳細胞が破壊されることで脳が萎縮するのですが、その原因についてミクログリアという免疫細胞説が報告されています。画像はアルツハイマー病に罹患した脳のミクログリア (緑色) の顕微鏡写真
人の記憶力を消し去るという極めて問題な深刻な症状を引き起こすアルツハイマー病。一般的に認知症になる要因の一つとしてあるのですが、ワシントン大学主導の研究として本来は正常な脳機能を維持することで脳の健康を維持するのに役立つ免疫細胞『ミクログリア』に理由がある可能性を指摘しています。
Brain Autopsies Reveal Potential New Culprit Behind Alzheimer's Disease : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/brain-autopsies-reveal-potential-new-culprit-behind-alzheimers-disease
ミクログリアは本来何らかの感染に反応したり、死んだ細胞を取り除くなど行っているといいます。この気の利いた形状変化体は外部からのウイルスなどの侵入者や不要な死んだ細胞を飲み込むために形を変えて動き回っています。それ以外にも発達中にシナプスを「剪定」するということも行っており、私たちの脳がうまく機能するための神経回路を形成するのに深く役立っているとのこと。
しかし、なぜアルツハイマー病ではミクログリアが正常に機能していないのかはよく分かっていません。分かっているのは重篤な神経変性疾患を患っている人では、一部のミクログリアが過剰に反応しており、脳細胞の死の一因となる炎症を逆に引き起こす可能性が示唆されています。残念ながら、アルツハイマー病に対する抗炎症薬の臨床試験では顕著な効果は無いとのこと。
そこでシントン大学の神経科学者キャサリン・プラーター氏ら研究チームはアルツハイマー病におけるミクログリアの役割を詳しく調査しました。これは死亡した研究提供者(アルツハイマー病患者12名と健康対照者10名)からの脳解剖サンプルから遺伝子を研究しました。
結果として、脳組織内の10個の異なるミクログリア クラスターを詳細に特定することに成功。このミクログリアが固まった状態のクラスターが1件のみアルツハイマー病患者で多く見られたといい、このタイプのミクログリアでは炎症や細胞死に関与する遺伝子がオンになった状態だといいます。
合わせて全体の研究結果としてはアルツハイマー病患者の脳内に存在するミクログリアクラスターは、炎症前の状態にあるミクログリアクラスターである可能性が高いことを発見。脳細胞に損傷を与えアルツハイマー病の進行に寄与する可能性のある炎症性分子を生成する可能性が高いことを意味しているとのこと。
アルツハイマー病患者の脳に存在するミクログリアは防御機能が低下しており、死んだ細胞や老廃物を掃除し健康な脳の老化を促進する能力が低下していることを確認しています。
科学者らは若い時は問題がないミクログリアが時間の経過(つまり高齢)とともに種類を変える可能性があるとも考えています。つまり、ある人の脳を観察するとその人がミクログリアが現在どのような状態なのか診断することも将来できるのではないかとしています。
合わせてミクログリアが時間とともにどのように変化するかを追跡することでミクログリアがアルツハイマー病にどのように関与しているかを理解するのに役立つものになると研究者は指摘しています。
ただし現時点でアルツハイマー病におけるミクログリアの関与がよく分かっていません。将来どのように変化しクラスターが生まれるのかなど、クラスターを取り除く治療方法やアルツハイマー病患者の生活を少しでも改善できる新しい治療方法開発につながることを期待しているとしています。
*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。
Brain Autopsies Reveal Potential New Culprit Behind Alzheimer's Disease : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/brain-autopsies-reveal-potential-new-culprit-behind-alzheimers-disease
ミクログリアは本来何らかの感染に反応したり、死んだ細胞を取り除くなど行っているといいます。この気の利いた形状変化体は外部からのウイルスなどの侵入者や不要な死んだ細胞を飲み込むために形を変えて動き回っています。それ以外にも発達中にシナプスを「剪定」するということも行っており、私たちの脳がうまく機能するための神経回路を形成するのに深く役立っているとのこと。
しかし、なぜアルツハイマー病ではミクログリアが正常に機能していないのかはよく分かっていません。分かっているのは重篤な神経変性疾患を患っている人では、一部のミクログリアが過剰に反応しており、脳細胞の死の一因となる炎症を逆に引き起こす可能性が示唆されています。残念ながら、アルツハイマー病に対する抗炎症薬の臨床試験では顕著な効果は無いとのこと。
そこでシントン大学の神経科学者キャサリン・プラーター氏ら研究チームはアルツハイマー病におけるミクログリアの役割を詳しく調査しました。これは死亡した研究提供者(アルツハイマー病患者12名と健康対照者10名)からの脳解剖サンプルから遺伝子を研究しました。
結果として、脳組織内の10個の異なるミクログリア クラスターを詳細に特定することに成功。このミクログリアが固まった状態のクラスターが1件のみアルツハイマー病患者で多く見られたといい、このタイプのミクログリアでは炎症や細胞死に関与する遺伝子がオンになった状態だといいます。
合わせて全体の研究結果としてはアルツハイマー病患者の脳内に存在するミクログリアクラスターは、炎症前の状態にあるミクログリアクラスターである可能性が高いことを発見。脳細胞に損傷を与えアルツハイマー病の進行に寄与する可能性のある炎症性分子を生成する可能性が高いことを意味しているとのこと。
アルツハイマー病患者の脳に存在するミクログリアは防御機能が低下しており、死んだ細胞や老廃物を掃除し健康な脳の老化を促進する能力が低下していることを確認しています。
科学者らは若い時は問題がないミクログリアが時間の経過(つまり高齢)とともに種類を変える可能性があるとも考えています。つまり、ある人の脳を観察するとその人がミクログリアが現在どのような状態なのか診断することも将来できるのではないかとしています。
合わせてミクログリアが時間とともにどのように変化するかを追跡することでミクログリアがアルツハイマー病にどのように関与しているかを理解するのに役立つものになると研究者は指摘しています。
ただし現時点でアルツハイマー病におけるミクログリアの関与がよく分かっていません。将来どのように変化しクラスターが生まれるのかなど、クラスターを取り除く治療方法やアルツハイマー病患者の生活を少しでも改善できる新しい治療方法開発につながることを期待しているとしています。
*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。