兵士らは発砲や砲撃など様々な場面で耳栓をしているらしいのですが、今回の訴訟は3Mが米軍側と契約し供給していた耳栓が十分な保護を提供しなかったとして元軍人らを含め26万件の集団訴訟を起こしていた問題です。

3M settled their combat earplug lawsuit for $6 billion - Task & Purpose
https://taskandpurpose.com/news/3m-earplug-settlement-veterans-hearing-loss/

具体的には2003年から2015年までに3Mから支給されていた耳栓に欠陥があったなどと訴えたものになっており、今回は和解したとして見出しでも紹介したように1人あたり約1.5万ドル(約220万円)、合計で60億ドル(約8772億円)となったとしています。

この和解案については請求者は前払いで一時金を受け取ることができるといい、より高い賠償額につながる可能性のある請求については別途評価を申請することもできるとしています。ただこの一時金の正確な金額はまだ決定されていないとのこと。

適切に使えば耳は保護できた

一方で3M側は今回の和解について、耳栓には問題はなく兵士らが正しく着用していれば防げた主張しています。この製品は3Mが2008年4月に買収し Aearo Technologies Inc. によって製造されていたものです。

この耳栓訴訟についてはモルデックス・メトリックが2016年5月に3Mが耳栓に欠陥があると知りながら米軍用耳栓を販売したとして内部告発訴訟を起こしたことから始まったといい。2018年に3Mはこれらの内部告発に関連する請求を解決するために司法省に910万ドルを支払うことに同意していました。

なぜ製品にそこまで重大な欠陥が無かったにもかかわらず聴力に異常を起こす兵士が多くでているのかについては別の理由があるという指摘もでています。

それは過去の戦争に比べてイラクやアフガニスタン、対テロ戦争では多くの兵士が同じく聴力に問題を起こすケースがみられるとしており、原因としては即席爆発装置が運用されはじめ兵士らが近くで爆風の衝撃に晒されたことも考えられるとしています。

結果として爆風や衝撃波に晒された場合、鼓膜というよりも脳そのものに障害を負う可能性があり、外傷性脳損傷（TBI）により聴覚がやられてしまい聴力にも問題でることがあると指摘しています。

アメリカにおける聴力障害については2017年時点で退役軍人の7.8%が難聴と診断され6.5%が耳鳴りがあると診断されています。2022年度には270万人の退役軍人が退役軍人庁から補償金を得ています。