MT-LB兵員輸送車に2M-3

先日、ロシアの装甲車にポン付けされた連装機関砲の砲身がブレブレだと話題になった動画があるのですが、最近別の車両の映像が公開され、同じようにブレブレ状態だったことが明らかになりました。

ロシアが今年3月ごろより小型の水上艇などで運用する連装機関砲を装甲輸送車両にポン付けすることで攻撃能力を付与した車両が確認されていました。専門的にはMT-LBという兵員輸送車に2M-3という小型艦艇用の25mm連装砲を搭載したものとなっています。

問題なのはこの2M-3が発砲時の反動でブレブレになっておりまともに狙えていないというものです。



映像上のページで紹介した動画は今月7日に投稿したものになるのですが、最近同じ兵器で新しい映像が撮影されました。

これは以前紹介した動画と同じようにMT-LBに2M-3連装機関砲を搭載したものとなっており、双方同じようにブレブレになっている様子が確認できます。

当初「故障した車両を面白く見せるため撮っただけだろう」と思い込み、「映っているのは故障した車両だ」と説明したのですが、どうやら標準仕様でブレブレになっているということで間違いなさそうです。

砲塔に求められるのは搭載する砲身のブレを吸収できるほどの堅牢性です。なぜブレを抑えなければならないのかは単純です。素人目でもわかるように敵を正確に狙うには最終的には砲身のブレを最小限にしなければならず、ブレれば砲弾が明後日の方向に飛んでいくため兵器として役目を果たすことはできません。人間でいいえば腕を振りながら銃を連射しているのと同じことになります。

しかしこの兵器は砲塔そのものが激しく揺れ、2発目以降の砲身は数度ズレた状態で発射するという訳のわからない兵器と化しています。

元はどうなのか、他の兵器と見比べる

気になるのはロシア軍がこれでいいと認めたのかという点です。考えられるのは2M-3連装機関砲そのものがブレブレなんじゃないかという説です。


残念ながら動画が少なく参考にするのは難しいのですが、こちらは艦艇に搭載した2M-3連装機関砲の射撃映像です。映像を見る限り多少ブレている気がするもののそこまで激しいものではありません。

一方ロシア陸軍は…

実はこのように車両にポン付けした連装機関砲というのは西側にも存在しています。


こちらはドイツのZU-23-2という文字通り23mmの連装機関砲をトラックや兵員輸送車にポン付けした映像です。見ての通り砲身のブレはほとんど発生していません。ブレているのは兵器そのものではなく車体側です。

結論としてMT-LBという兵員輸送車に2M-3連装砲を搭載したモデルは接続に何らかの問題があり連装砲の反動を受け止めることができず砲塔構造そものにブレが生じてしまっているということになります。その理由については2M-3そのものが大型の船体にガッチリと固定するものであって設計として反動を吸収できるような性能が低くなっている可能性も考えられます。

ちなみにMT-LBにもZU-23-2のような連装機関砲を搭載したモデルが存在しているのですが、こちらは激しいブレは生じていません。