image336

先日、ロシアに占領されているクリミア半島に対して巡航ミサイルを発射しキロ級潜水艦などを破壊することに成功したウクライナ。実はこの攻撃が行われるまでに合計3回の攻撃を実施し対空ミサイルなど破壊した後に実施可能性が示唆されています。

今月13日、クリミア半島南部に位置するセヴァストポリの乾ドックにいたロシア海軍のキロ級潜水艦に対して巡航ミサイル攻撃を行いこれを破壊することに成功しました。

この攻撃に対して報道などでは単純に巡航ミサイルが使用され防空網を突破し命中したというニュアンスになっているものの、どうやら陽動攻撃から防空陣地の特定、破壊、など入念な下準備のもと実施されていた可能性が指摘されています。

一部サイトによると、今回の巡航ミサイルストームシャドウが潜水艦を攻撃するまでに3回目の攻撃があったことが報告されています。

8b212ed3-s

1回目の攻撃、ドローン無人船

まず一回目の攻撃はロシア側も発表していたように爆発物を積んだ無人の艦艇が海から攻撃があったとされています。ロシアは3隻破壊したとしていたのですが、実はこれが完全に陽動だったとみられています。当然ロシアとしては次の攻撃が「海からある」と注意を持っていかれることになるのですが、次の攻撃はすべて空からでした。

2回目の攻撃、S-200対地ミサイル(?)

2回目の攻撃。これも半ば陽動です。クリミア半島にはロシア製の強力なミサイルS-400が配備されておりミサイルの類であれば迎撃することができます。これがセヴァストポリ周辺、およびクリミア半島にどれだけ配備されてたいのかは不明でした。そこでウクライナ側はS-400の配備位置を特定するためにS-200ミサイルを数発発射。S-200は防空ミサイルですが対地ミサイルとして使用していたことがあります。

ロシア側は攻撃を防ぐため撃墜しようと狙うことになり、ウクライナや西側諸国はロシア軍のS-400の配備位置を特定することに成功します。

3回目、対レーダーミサイルで防空網破壊

93f027fe-s
AGM-88 対レーダーミサイル(アメリカ提供)

ウクライナはS-200でクリミア半島の防空ミサイルS-400が配備されているおおまかな地点を把握することができました。次に行われたのは対レーダーミサイルによるS-400を運用するレーダー陣地などを破壊することです。

S-400があっても運用されているレーダーが破壊されれば使用不能になるため非常に有効です。対レーダーミサイルは敵がレーダーを使用するとそのレーダーに向かって突っ込むミサイルであり仮にレーダーを切ったとしてもミサイルは座標を記憶しているため命中させることができます。結果的にウクライナは対レーダーミサイルを使用しS-400の防空システムを無力化することができました。

ただし本当に対レーダーミサイルが使用されたのかは不明で、通常兵器が用いられた可能性もあります。

4回目、ストームシャドウで艦艇破壊

5af5da3c

対レーダーミサイルで防空網が破壊したことで大幅に防空能力が低下したセヴァストポリを襲ったのはイギリスから提供された巡航ミサイル『ストームシャドウ』です。これはイギリスから提供されたミサイルで今回大きな戦果を上げることができました。

結果としては揚陸艦およびキロ級潜水艦、各1隻を修理不可能なレベルで破壊することに成功しました。

ロシアが撃墜したのはストームシャドウではない?

ロシア側の発表として10発の巡航ミサイル攻撃があったとして7発を撃墜、3発が艦艇に命中したと説明しています。しかし「10発のストームシャドウを一度に撃った」というのもウクライナ空軍の戦力からみても非常に不自然さを感じていたのですが、ロシアが撃墜した7発のミサイルについては事前に発射したS-200や、ストームシャドウと合わせて発射された何らかのデコイ、おとりも含まれている可能性が考えられます。

予想では合計で4発ストームシャドウを発射してうち3発が命中したというのが、攻撃手段や運用面からも自然と考えられるのですがこれについても正式な発表がなくよく分かっていません。何れにしても最低でも2発のストームシャドウが発射されたことは確実と考えれます。

参考