image350

処理水の海洋放出決定と共に中国が日本の海産物をすべて輸入禁止としたのですが、そこで問題になったのはホタテです。大量のホタテが中国に輸出されていたことで発生した、典型的な『チャイナリスク』に当てはまる事例にもなったのですが、お隣韓国ではこの問題をどのように報じているのでしょうか。

韓国メディアNOWnewsは今月26日、処理水を海洋放出したことで水産物を全面禁止したことにより発生したホタテの問題を取り上げています。この記事は発生した原因や現在の対応について紹介している内容です。

“미국이 먹어줄게!”…美 없이는 ‘가리비 재고 떨이’도 못하는 일본 [핫이슈] | 나우뉴스
https://nownews.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20230926601013

まず今回の問題についてはホタテは大部分は中国に輸出された後、皮をむく加工を経て米国に再輸出されてきたと指摘。しかし中国が水産物を禁止したことで中間ルートとして存在していた中国への販路が閉ざされたことで大量の在庫が貯まったとしています。

北海道産ホタテに関しては最近ではその66%が中国に輸出されてきたといいます。しかし一連の規制により在庫が保管庫の高さ8メートルにまで積み上がったり、国民に消費を訴えているものの加工等や販売ルートの問題もあるのか「消費拡大にはつながっていない」と紹介していまし。

チャイナリスク、販路の開拓

見出しでも紹介したように中国に依存し経営についてはこれまでも何度も言われているように非常にリスクが高いことが指摘されています。これはチャイナリスクと長年呼ばれ続けているもので輸入や輸出先を中国以外にも作っておくことはリスク回避から経営者としては当然とも言えます。

問題なのは中間として存在していたホタテの輸出先である中国を回避しどうやって輸出につなげるかです。これに関して手を差し伸べたのは大量消費国のアメリカです。アメリカはホタテの新しい流通経路確保のため在日米国大使館が日本農林水産省とともに日本水産加工品の流通​​経路を設けることができるように支援すると明らかにしています。

韓国メディアによると2023年7月における北海道産ホタテの価格は1kgあたり195円から8月には173円まで下落しているとのこと。日本では北海道地域で中国向けとして輸出するはずだった10万人分の在庫を学校給食で無償提供するなど対策をしているとしています。

中国は先月における水産物の輸入額は68%減と大幅な下落を示しており禁輸規制のため今後もほぼゼロになるレベルまで続くと考えられます。

処理水ではないただの対日制裁

ここからは記事には記載されていないのですが、日本の農林水産物で『輸出額トップはホタテ』と言われるくらい大量のホタテが日本から海外に輸出されていました。その額は2016年頃時点で農林水産物の輸出額の7.9%を締めており約590億円規模。これは日本酒などの酒の輸出額全体が約390億円を遥かに超える額となっています。

その輸出先は先程も紹介した中国が40%、大量消費国のアメリカが20%となっており、このホタテの海外輸出され40%が行き場を失ったという形になります。

なぜ中国は今回処理水を上げ水産物の全面禁輸という対策にでたのか。理由は単純でその背景にはアメリカに追従する西側諸国に繰り返し行っている制裁の一つです。したがって「放射性トリチウムが云々」という問題ではなく、制裁するための口述であり輸入再開を求めたところで何の意味もありません。

中国はこれまでも台湾からの輸入されるパイナップルに規制をかけたり、フィリピンに対してはバナナに対して規制をかけて価格を暴落させたことがありました。このフィリピンに対しては過去に在住するすべての中国人を帰国させるという「軍事一歩手前」という対応をとったこともあります。他にもオーストラリアは新型コロナの発生源の調査を求めたというだけで石炭をはじめ、大麦やワインなど農産物を規制しました。これらの国はアメリカとの政治・軍事的な関係強化が見られた段階で規制を強めた例もあります。

このように中国は輸入を禁止することで制裁を加えることを度々行っており、今回のホタテをはじめ水産物がはじめてではありません。理由はどのようなものでもよく害虫がついていた、農薬が検出されたというのも典型例であり今後も揺さぶりをかけてくることは間違いありません。中国共産党はこのような大々的な禁輸キャンペーンを度々・定期的に行うことで対象国以外に対しても「いつ輸入をとめるぞ」という政治的なゆさぶりを見せつけることができます。

極めて単純でわかりやすい思考になっているのですが中国の禁輸措置はその国の経済を揺るがし政治に影響を与えることが主たるものとなており、その背景にはアメリカとの関係強化を釘を刺し自国に有利な立場にもっていくことをしていることは間違いありません。