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船に巨大な帆をつけてCO2削減。海運業界でもCO2削減が行われているのですがいわゆる硬翼帆など『帆』を付けて動力を補助するという主張についてどのような考え方があるのでしょうか。

タンカーや貨物船など大型船に帆を付けるという取り組み。現在、この地球温暖化を皮切りに大型船に帆を付けて燃費を改善させたり温室効果ガスの削減を行う企業が出始めています。

例えばPyxis Oceanという新興企業は貨物船に2枚の折りたたみ可能な帆をつけ中国からブラジルの太平洋横断をしました。最新の船舶を用いてこの硬翼帆を搭載することで最大30%の燃料消費ができると想定しています。



他にもフランス企業のエアシーズなどは硬翼帆ではなくパラセールみたいなものを上空1000mに飛ばしウィンドウサーフィンのように引っ張られながら燃料消費を削減する方法を模索しています。このような風の力を利用する案は最近はじまったのではなく少なくとも10年以上前から存在しています。

ゾンビのように蘇る硬翼帆

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感じインパクトがありエコな印象を与える硬翼帆ですが、このようなアイディアは既に実施されその結果が分かっています。日本です。昭和55年1980年に建造した新愛徳丸は硬翼帆を搭載していました。この船は最大排水量1499トン、全長63.85mある貨物船でした。

新愛徳丸は当時最新の技術を取り入れた動力、船体そして硬翼帆を用いることで最大50%の燃料消費となると予想されていました。ではなぜ50%も削減できる船が現在は姿を消したのか。残念ながら結果は大きく違っていました。

現実はこの帆を付けたとこで削減できた燃料消費はわずか10%だったとされています。さらに帆のメンテナンスなど運用コストが増加するという当たり前のような問題が発生したことで、想像では逆に運行コストが高くなるという問題も発生しました。

現在はどうなのか?

1980年から40年が経過した現在の貨物船に載せた場合どうなるのかという点です。残念ながらメンテナンスにかかる費用については差がないどころか人件費を見ても逆に高くなっていることも考えられます。

また昭和よりも現在は船舶そのものが巨大化しておりその巨大な船に十分な力を風の力を伝えるにはシステムを巨大にしなければなりません。したがって導入コスト・維持費も高くなる可能性があります。何れにしても片道の燃費が3割向上したところで風向きが逆になると考えられる帰りの燃費はそこまで良くならないと考えられます。帆のメンテナンスそのものにも二酸化炭素が発生させるという事実もあり、二酸化炭素は削減できたとしても経済的な面での帆を搭載する意味は現在もほぼ無いと考えられます。