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中国当局によると、主にリチウムイオン電池の素材の一つとして重要なグラファイト、黒鉛に関して今年12月以降から輸出規制を実施すると発表しました。これはアメリカが対中国向けにAI開発用の高性能な半導体の輸出制限に対する対抗手段と考えられます。

中国商務省の発表によると、今回の措置は「国家の安全と利益を守るためだ」という理由で黒鉛を輸出規制するとしており、具体的にただの素材に過ぎない『黒鉛』がどのように国家の安全に関わっているのかは明らかになっていません。

具体的に規制されるのは黒鉛品目3つで、当局の発表としては軍事転用が可能な物があるとして規制したとしています。黒鉛については現在主にリチウムイオン電池、最近では電気自動車のバッテリーカソードに使用されています。

国際エネルギー機関(IEA)の2022年電気自動車バッテリー世界サプライチェーンレポートによると、中国は天然黒鉛採掘量は全体の実に80%を占めている以外も。世界黒鉛加工工程の70%が中国で行われているという、これもチャイナ・リスクの典型的な素材となっていました。

日本政府の反応は伝えられていないのですが、韓国メディアは韓国内における両極材の原鉱物であるニッケルとリチウムの中国依存度はそれぞれ65%、59%となっているものの、天然黒鉛の場合は約94%に達し中国の今回の輸出統制措置で一定の部分影響これは避けられない状況だとしています。

鉄鋼用電極剤に入った黒鉛については今回輸出規制から除外されたとしているものの輸出するまでの期間は伸びるのではないかとみられています。

進む脱中国

見出しにも記載したように中国は「国家の安全と利益を守るためだ」としたうえで規制は特定の国や地域を対象にしたものではないとしています。タイミングは17日に中国向けの半導体の輸出規制を強化する措置を発表したアメリカをけん制するねらいもあるとみられます。

電気自動車は西側の国では大量に生産されており黒鉛が手に入らないとなると打撃となるのですが、例えばテスラは黒鉛を安定供給するためモザンビーク鉱山メーカーシラリソース(Syrah Resources)社と供給契約を締結しました。べンツもオーストラリア鉱物業者のタルガ社と供給契約を締結しグラファイト供給線多角化を試みています。

脱中国は進んでいるものの状況としては必ずしもそうとはなっておらず今後は、非中国産のグラファイトの高騰は続くものと考えられます。