PJDAM

アメリカの航空宇宙大手ボーイングは自由落下爆弾にエンジンと翼を付けた巡航ミサイル化するキットPJDAMを開発しており将来の導入に向けて売り込みをかけていると報じられています。

無誘導の航空爆弾、つまり戦闘機や爆撃機から落とす通常爆弾というのがありこれはMk.82 500ポンド、Mk.83 1000ポンド、Mk.84 2000ポンド爆弾など種類があります。この各種無誘導爆弾に尾翼などをキットとして外付けし精密誘導爆弾となったものが種類をとわずまとめて『JDAM』と呼ばれています。

▼航空爆弾に精密誘導キットJDAMを取り付けたもの。(キットを取り付けた航空爆弾を総じてJDAMと呼んでいる)
JDAM_1


今回紹介するのはボーイングが開発しているPJDAMというものです。PJDAMとJDAMの違いは大きくエンジンの有無です。PJDAMはJDAMにないジェットエンジンがついており投下後みずから飛翔し巡航ミサイルのように扱える点が異なります。

ボーイングは今年8月に風洞実験でPJDAMを試験。既にこの試験は完了しました。PJDAMの性能については公にされいないものの少なくとも300マイル飛翔できるとしています。これは投下地点から480km以上に達します。一般的なJDAMには動力が搭載されていないため投下する高度によるものの数十kmが限度とされています。

ボーイングがPJDAMの開発を始めたのは2020年頃です。少なくともその2月にコンセプトを発表しています。元をたどれば1990年頃には構想があったとこと。そして2022年にPJDAMの特徴や利点などを発表。そして現在風洞試験を実施、地上における一連の開発は完了に近づいていることが伺えます。

PJDAM_2

競合するのは高価な誘導爆弾か

なぜわざわざ航空爆弾を巡航ミサイル化する必要があるのか。既に開発されている誘導爆弾でいいのではないかと思ってしまうのですが、ボーイングとしてはここにメスを入れようとしている可能性があります。

▼ライバルはJASSMか
F-15 JASSM

例えば同じ用に航空機から投下できる巡航ミサイルとしてAGM-158、通称 JASSMがあります。JASSMは初期モデルであれば射程が370kmとPJDAMより短くなっています。現在はJASSM-ERという射程が900kmほどあるものが配備されています。

問題なのは兵器につきものの導入コストです。
PJDAMについては飛び出し翼を備えたJDAM-ERと同じ翼キットを採用しているといい、この時点でJASSMよりも遥かに安価ではないかと思われます。さらにエンジンなどを搭載した場合も考えてもコストはJASSMよりも安価であり、現在配備されているJASSM-ERよりかは明らかに安価であることは間違いないでしょう。(記事ではJDAMキットは2~3万ドル、ジェットエンジンは19万ドルでありJASSMの100万ドルより安価だとしている)

JDAMは現在イスラエルなどを始め西側の主力精密誘導爆弾として広く使用されています。特に輸出する側、つまりアメリカとしては高性能なJASSM-ERなどの誘導兵器が兵器技術が他国に盗まれる懸念があり輸出規制されることがあるのですが、その観点からもPJDAMは容易になると考えられます。

現在アメリカはJDAMを使用した対艦攻撃を行うコンセプトが出ていることからも将来気にPJADMが対地、対艦巡航ミサイルとしての通常巡航ミサイルとして安価な兵器になってくる可能性もあります。

参考