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今は昔の話になりつつある新型コロナ。そのワクチンとしてアストラゼネカがあったのですが当時騒がれていたのは血栓ができいるというものです。これは事実であり数万人に一人の割合で血栓ができたのは認められているのですがその未知の事象に研究者が解明しようとしています。

アストラゼネカがオックスフォード大学と協力して開発した新型コロナワクチン、アストラゼネカ。ファイザー、モデルナと共に初期に開発されたワクチンであり多くの命を救った一つとして非常に有名ですが、一方で統計からワクチン接種を受けた人の約50,000人に1人の割合で血栓が発生しました。

Why some people got blood clots after the AstraZeneca vaccine – new clues
https://theconversation.com/why-some-people-got-blood-clots-after-the-astrazeneca-vaccine-new-clues-211949

この5万人に1人という割合は他のワクチンに比べてリスクは高いのか低いのかは不明なのですが、なぜこのような副反応が生じてしまうのかは当初よく分かっていませんでした。しかし、これまでの研究からワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT) を発症する人は免疫反応に何らかの問題が発生し、患者自身のタンパク質の1つにくっつく抗体を生成しているとがわかったとしています。

このタンパク質とは血小板因子 4 (PF4) と専門的に呼ばれているもので、VITT病態に罹患すると免疫反応に異常が生じ体内のタンパク質のひとつにくっつく抗体が生成されるとのこと。多くの人が免疫反応の一部としてPF4にくっつく抗体を作ることがわかっているものの多くの人は弱くくっつくもののVITTを発症する人はPF4に瞬間接着剤のようにくっつく抗体ができると特徴がありました。

VITTの抗体はPF4分子を接着し「免疫複合体」として知られる大きな構造を形成します。これらは血液凝固に必要な血小板と呼ばれる小さな細胞と結合しか活性化。通常、血小板は不活性な状態で血液中を浮遊しているものの活性化されてしまうと非常に粘着性を帯びるとのこと。
VITTではこの血小板が強く活性化されたことで結果的に血栓の原因となります。

VITTに関するもう一つの大きな謎は脳に血栓が生じるというものです。脳血栓が自然にできることは非常にまれであり医学的にも年間100万人に3、4人しか発症してい症状にも関わらずVITT患者では実に半数以上に血栓が生じていました。(つまり10万人に1~2人程度)

VITT患者に脳血栓が多い理由についてはいくつかの説があり、血流の速さ、PF4や抗体の血管への粘着性です。カナダの科学者は、PF4に抗体が最も強く付着する患者が脳に血栓ができやすいことを示唆する結果を出しており、このような研究が進みメカニズムを解明できれば一般的に使用されている薬でこの活性化をブロックすることもできるだろうと見ています。

一方でなぜ特定の人がVITTを発症するのかは、抗体の一部を作る遺伝子の変異に理由があります。つまりこの遺伝子の有無が発症の強弱を変えるということになっており、人種的にはヨーロッパ系の人々に多くリスクが高いとしています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。