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自然における水の蒸発といえば風や湿度にも大きく影響されるのですが、例えばそれを固定した状態で蒸発させようとすると熱が重要になってきます。蒸発を人工的に行うと莫大なエネルギーが必要になるのですが最近、光だけで蒸発できるという重大な発見があったと発表されています。

地球を覆う大量の水。この水の循環には蒸発というプロセスが必要となります。つまり水が粒子となって蒸発することでグルグルと海と大気中を循環するというものです。

その水の蒸発に重要なものは熱です。科学的でも水の蒸発は『熱』がプロセスの重要な役割になっていることははっきりしています。しかし過去この水の蒸発について、科学者らは熱以外の何かが影響していることが分かっていませんでした。つまり水の蒸発速度が熱による蒸発速度とは何か異なるというものです。

マサチューセッツ工科大学の論文でこれまで知られていなかった水の蒸発について全く新しい未知の蒸発源を科学的に発見したというものです。

Surprise Discovery Reveals a Whole New Source of Evaporation : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/surprise-discovery-reveals-a-whole-new-source-of-evaporation

当然この研究以前からこのような考え方はあったと思われるのですが、MITによると光子の流れを利用して熱を使わずに光を生成すると(つまり水に熱が伝わらない状態にすると)、実験室内の液体の水を蒸発させることができることを発見したというものです。

この発見自体は2022年に発表された吉林大学材料科学工学院らの研究内容が元になっているという内容が記載されています。MITの研究者らはこの研究内容については懐疑的だったものの今回の研究では光そのものが蒸発させていることがわかり、現象を「光分子効果」と呼んでいるとしています。

MITの実験データとして、これまで分かっている『熱』のみによる蒸発する水の量は熱限界を超えることは無かったものの、光と熱の両方をオンにしたところ熱限界を超えて蒸発していったとしています。つまり光による蒸発がほぼ確実に発生していることを突き止めました。

研究者によると熱を伴わない光がだけで本当に蒸発を引き起こすことができるのであれば、例えば水の淡水化プロセスなどこの知識を利用することで現在の生産性を3~4倍高速化できる可能性があると主張してています。つまり水を極めて安価に淡水化できるようになるというものです。

MITのチームは「光分子効果」を利用してた淡水化システムの開発および、自然界でも発生していると考えられるため新しく気候変動モデリングを改善する方法を進めるため既にいくつかの助成金を受け取っているとしています。