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海外の軍事系メディアによると、今月4日ウクライナ軍が何らかの巡航ミサイルを発射し、クリミア半島に停泊していたカラクルト級コルベット6番艦アスコルドに命中し大破したと報じられています。

TheDriveによると、今回の攻撃についてアスコルドは当時クリミアのケルチ港にあるザリブという造船所に停泊していたとしています。映像では港に停泊しており、整備中ではなかったと考えられるのですが何らかの巡航ミサイルと思われる飛翔体が落下する様子が映し出されており命中し大破しました。この艦艇については廃艦になる可能性が高いと考えられます。

こちらが現地で撮影されたミサイルが着弾した時の様子です。1フレームだけミサイルが映っているようすが確認できるのですが、その後1度もしくは2度の爆発が発生。2発命中した可能性もあるのですが、結果的に炎上、大破しました。
この攻撃についてどのような兵器が使われたのかについては明らかになっていないものの、ウクライナ軍は「ミサイル攻撃を成功させた空軍戦術航空のパイロットたちに感謝したい」と発信したことが確認されており、戦闘機搭載型の巡航ミサイルが使用されたことを示唆しました。

ミサイルについてはTheDriveによるとウクライナ空軍がSNSでイギリスとフランスが共同開発しフランスが供与したミサイルを装備するウクライナ空軍のSu-24をツイートしていることが確認されています。予想ではこのSCALP-EG ストーム・シャドウという空中発射型巡航ミサイルが用いられたのではないかと見ています。

SCALP-EG/ストーム・シャドウ

ストームシャドウ

ストーム・シャドウはフランスとイギリスが開発した空中発射巡航ミサイルで現在はイギリスに本社を置くMBDA社によって製造されています。配備されているのはフランスとイギリス、イタリアも導入されています。

▼非公式の紹介動画


同ミサイルは射程500km、輸出モデルで250km以上あるもので地上約20~30mを地形追従する形で時速1000km/hという速度で比較的高速飛行します。誘導方法はGPS誘導、慣性航法誘導、地形プロファイルマッチング、赤外線画像誘導の4つ。攻撃する目標設定は発射前に行い発射後に変更することはできない仕様です。

ミサイルはターゲットに近づくと低空飛行から急上昇、急角度で落下します。撮影された映像でも70度くらいの角度で落下するミサイルが確認できます。弾頭重量は450kgあり耐衝撃性がある2段構成のブローチ弾頭を採用しています。一段目の爆発物が最大で5m程度の硬い地下やコンクリート施設への貫通攻撃を行い、2段目が貫通痕を通り対象を内部から破壊します。

巡航ミサイルは対地目標以外にも水上目標も破壊可能な万能型となっておりフランス仕様では艦艇や潜水艦からも発射可能な兵器となっています。

実績としては2003年以降で実戦使用されています。2011年のリビア内戦で使用された際には40発程度のミサイルが使用され命中率は97%。イスラム国に対する攻撃では地下に設けられた施設を攻撃するのに使用されました。