出来事があったのは今月31日、イエメンの反政府武装組織フーシ派がイスラエルの港湾都市エイラトに向けて弾道ミサイルを発射。イスラエルはこれを探知しイスラエルのミサイル迎撃システム「アロー」を用いて迎撃、撃墜に成功しました。

イスラエル国防軍によると、Arrow（アロー）ミサイル迎撃システムにより実戦として地球の大気圏外で弾道ミサイルを撃墜したことについて宇宙で行われた初めての戦闘と考えられると主張。イスラエルは迎撃に関する詳しい内容は公表していないものの声明で「空軍システムがミサイルを追跡し、最も適切な時間と位置で迎撃した」と発表しています。

一方でフーシ派が発射した弾道ミサイルは「ブルカン」を改造した「ブルカン3」との見方があります。このブルカン3の射程距離1200kmとされイスラエル領土に到達できる性能があるとされています。

イスラエルの防空網と迎撃ミサイル『アロー』

イスラエルについてはガザ地区のハマスが日常茶飯事レベルで無差別ロケット攻撃に晒される世界でも珍しい国です。そのため防空網が極端に発達した国の一つともなっています。

イスラエルの空を守っているのは距離に応じた3つの防空システムです。最も低空を防御しているのはアイアンドームと最近運用が始まったというアイアンレーザーです。最大10kmで動作し低空を飛翔するロケット弾や迫撃砲などを迎撃しています。

その外側を守っているのはダビデスリングと呼ばれる空対地ミサイルでこれはアメリカの軍需大手レイセオンと共同開発しました。2017年頃より運用しており主に戦闘機や各種巡航ミサイルなどの迎撃に使用されているものと思われます。

▼アロー3迎撃ミサイル


そして今回迎撃に使用したのは最も外側、弾道ミサイル攻撃などに対処するために開発された『アロー』システムです。使用されたのはアロー3とされボーイングと共同開発したもので2017年に運用がはじまりました。具体的な性能は明らかになっていないものの大気圏外(高度100km以上)で迎撃可能なものとなっています。

仮の話として例えばイランから弾道ミサイルが発射された場合、発射からイスラエルまでの着弾はわずか3分程度です。この間にミサイル発射して迎撃しなければならないというものになっています。