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アメリカの民間宇宙開発企業、SpaceXは日本時間18日午後10時頃、同社としては2回目となる超大型ロケットStarshipを打ち上げたものの何らかのトラブルが発生し打ち上げは失敗となりました。詳しい状況は明らかになっていませんが、打ち上げ後8分が経過した時点で爆発したものと考えられています。

今回打ち上げたStarshipは高さ122m、これまで人類が開発したロケットとしては最大の打ち上げ能力とパワーのある超大型ロケットです。Starshipとは厳密には第2段目、将来人や貨物が搭載される部分で、第1段目はスーパーヘビーと呼ばれるロケット部分を差します。

今回の打ち上げに関して、発射については一号機と同じように成功しました。また姿勢は安定した状態でで上昇していき1段目スーパーヘビーを分離。しかしこのスーパーヘビーはコントロールした状態で海面に落下させる計画だったものの打ち上げから3分20秒前後、高度90kmで爆発しました。原因は不明ですが、減速中に爆発したことから構造が耐えられなかった可能性が考えられます。



問題の第2段目、Starship本体については順調に高度をあげ148km付近、燃料は9割ほど消費した時に何らかのトラブルが発生。打ち上げから8分が過ぎた頃に予定よりも早くエンジン燃焼終了(正しくは爆発したため燃焼終了)。こちらも予定された飛行速度に達してはおらず燃焼中に飛行停止システムが動作し消失したものと考えられます。

この2段目についてはなぜ飛行停止システムつまり自爆ということになるのですが作動した理由は発表されていません。予定された軌道に投入できなかったという可能性が示唆されているもののよく分かっていません。

部分的な成功を喜ぶ声もあるものの…

今回の試験では前回の第一回目の打ち上げに比べて大きな進化がありました。なぜ第二段目が順調そうに見えて爆発させたのかは不明ですが、結果としては打ち上げは失敗となり大気圏への再突入といった重要な試験が実施できないという問題が生じました。

このStarshipはアメリカが今後予定している有人月面探査などの重要な宇宙計画の柱となっているロケットであり『失敗=計画の遅れ』を直接意味します。もちろん人が乗り込むロケットであり安全性の観点からも疑問が付くということになります。

難しい技術を多く盛り込み挑戦的なロケットとなっているものの一方でアームでロケットを回収するなど困難な技術も多く取り入れています。Starshipの耐熱パネルの一部分が飛行中に剥がれていることも確認できており構造そのものにいくつか欠陥があるものと考えられます。

いずれにしてもNASAのSLSは1回目の打ち上げですべて成功させている一方でStarshipについてはそうはなっていません。現時点では打ち上げは2回連続で失敗しており大気圏突入から着陸(空中キャッチ)などの試験は未だに行えていないことからも全体的な計画は年単位で遅れていくものと思われます。