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月面にある大量のクレーター。人工衛星などで観測できるサイズのクレーターの位置などは調べられているのですが、2022年3月4日に作られた比較的大きいく珍しい2重クレーターに関して、中国のロケットが作ったものであることが明らかになりました。

この研究は元アリゾナ大学のエンジニアが発見したもので、見出しでも紹介したように2022年3月4日に2つの物体が同じタイミングで落下する時に形成される2重クレーターが形成された件について原因は中国にあると説明しています。

Physical Characterization of Moon Impactor WE0913A - IOPscience
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/PSJ/acffb8#psjacffb8s9
New Evidence: Chinese Rocket And Secret Payload Caused Double Crater on The Moon : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/new-evidence-chinese-rocket-and-secret-payload-caused-double-crater-on-the-moon

まずこのクレーターを作ったのはこれまでスペースXのブースターだと考えられていたものの、すぐに中国の2014年に行ったミッションに疑わしいことがわかったとしています。

この天文学者は2015年3月のカタリナ・スカイ・サーベイでの発見され宇宙を漂っていた物体をWE0913Aと名付け軌道を追跡していました。研究チームは衝突直前の未確認物体の動き、さらに反射光の変化を分析しそれが何なのかを正確に解明することに成功していたといいます。結果的にこの物体は2014年の中国が嫦娥ミッションで廃棄された長征3Cロケットの上段であることがわかったとしています。

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問題はなぜこのような同じサイズの2重クレーターが形成できたのかという点です。これに関しては何らのペイロードつまりそれなりの質量を伴う貨物が搭載された状態で落下したことを意味します。研究者によると「二重クレーターはエンジンの反対側のロケット本体の前端に、二次的に永久的に取り付けられたペイロードとして公表されている質量を超える追加の質量があったという仮説を裏付けています」としており、非公開の何らかの質量を伴う貨物が搭載されていたことを証明しているとしています。

ちなみに過去に有人探査を行った際のサターンロケットが残した月面のクレーターはいずれも1つであり2つというのは存在していません。

▼アポロ計画で落下したロケットより作られたクレーター
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そして月の周回軌道から自然に高度を下げるということは無いという点です。大気がほぼゼロの月で地球のように自然に落下することは基本的にありません。つまり意図的に落下させたということになるののですが、同じサイズのクレーターが2つできるには片方はエンジンとしてもう片方つまりロケットの反対側の先端付近にもう一つエンジンと同等の重量の貨物が必要になります。