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世界各国の標準的な軍隊の戦闘シミュレーションになっていると考えられるレーザーを使用した戦闘訓練。アメリカでは陸軍と海兵隊でも使用されているのですが、今後はレーザーではなく弾道などをすべてシミュレーションできる電子弾仕様に変更されると報じられています。

Defencenewsによると、現在アメリカ陸軍や敵地に真っ先に乗り込む海兵隊の地上訓練はレーザーを用いた射撃訓練となっています。これは複数統合レーザー交戦システム(MILES) というもので、初期バージョンは1970年代にテストされ、1980年代から現在まで改良されながら使われています。

New military simulations for shooting, trench war, drones unveiled
https://www.defensenews.com/flashpoints/2023/11/22/new-military-simulations-for-shooting-trench-war-drones-unveiled/

もちろん兵士のライフルにつけるものだけではなく、戦車などにも取り付けられ実弾を用いない射撃シミュレーションとして使われ、たとえば敵味方に別れレーザーが当たればその部位によっては死亡という判断がされるというものだと思います。

レーザー、MILESの欠点

比較的安価にかつレーザーを仕様することから利点・欠点もあるのですが、最大の欠点はこのレーザーそのものにあるといいます。

レーザー、つまり光であるため直進しかせず迫撃砲や手榴弾など放物線を描く間接射撃シミュレーションは効果的にできない点です。また茂みなどレーザーが遮られる場面では機能しません。合わせてこのシミュレーションそのものが古く寿命を迎えつつあるとしています。

SIMRES

▼SIMRESシステム
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2024年以降にMILESに置き換わる形で導入されるのは電子弾を飛ばすSIMRESというものです。開発したのはロッキードマーティン。2024年から2026年の間に合計16 台のMCTISシステムを順次配備するとしており、日本やグアムの基地でも導入されます。

この電子弾を仕様したシミュレーションは実世界の発射体の物理学から特定の距離、角度、さらには貫通した場合にどのように動作するかをすべてモデル化できます。例えばそれがコンクリート壁などか木造なのかという障壁もシミュレーションできるといいます。言い換えれば戦争ゲームのようなシミュレーションを現実で再現できるようなものと考えられます。

MILESではセットアップに時間がかかりムダが多くそもそもレーザーを用いた射撃そものもが実物とは異なる場合があり兵士にとってマイナスの訓練となる可能性もゼロではなかったとしています。

このSIMRESは例えば現代のドローン戦も再現することができるといい、ドローンの有効な使い方などもシミュレーションできるようなものとなっています。