有人火星探査については目安として着陸も含めて行き帰りの日数は500日前後とされています。この1年を軽く超えるミッションではこれまでも分かっているように無重力からくる筋力低下の問題をはじめ免疫機能、関節、脳、など様々な重要な臓器に影響を与えることが分かっています。

今回問題になっているのは男性の生殖器、つまりペニスの問題ですがNASA宇宙放射線研究所によると、無重力状態と宇宙放射線の被曝により勃起不全が長期間発生する可能性があるとしています。

この研究はあくまでラットを用いたシミュレーター試験で明らかになったもので、86 匹のオスラットを4週間行われたもので宇宙放射線 (GCR)を0から 1.5 グレイ (Gy) までのさまざまなレベルの曝露を含めてシミュレーションしたというものです。一連の無重力状態と曝露試験から12～13 か月に回復した後、動物の陰茎血管と海綿体を研究しました。



結果、長期間の回復期間がとられさらに比較的曝露にもかかわらず、ペニスにおける神経媒介血管反応性がマイナスに変化することが実証されたとしています。この擬似的な宇宙放射線により内皮機能と組織弛緩を著しく損ない勃起機能に機能不全を示唆する結果が得られたとしています。

研究チームによると「今後数年間に宇宙へのミッションが計画されていることからこの研究は宇宙飛行士が地球に帰還した後に性的健康を注意深く監視する必要があることを示している」と説明しています。ただしこの生殖機能の異常については治療は可能だとしています。