F-22

最近進められているのはアメリカ空軍で運用されているいくつかの機体の退役です。主に旧式となったものがその対象になるのですが、その退役についてF-22も候補になっていると報じられています。

簡単にまとめると
  • 旧モデルのA-10、F-15は空軍の主張どおり退役を認める
  • 旧モデルのF-22は訓練機状態で戦闘能力がない
  • F-22の武装化には2000億円以上の費用がかかる
莫大な運用コストがかかる戦闘機。陸上の車両に比べて整備面もコストが掛かることは容易に想像できるのですが、今回は限りある予算の中でやりくりするために既存の戦闘機や攻撃機を引退させるという案が進んでいます。

Defense bill would let Air Force retire A-10s, F-15s — but not F-22s
https://www.defensenews.com/air/2023/12/07/defense-bill-would-let-air-force-retire-a-10s-f-15s-but-not-f-22s/

12月初旬、米議会が提出したという米国国防権限法。これは米空軍が側が求めていた現在運用している旧式のF-15 戦闘機、A-10攻撃機について退役させることは認めるとしているものの、F-22の一部をそれぞれ引退させるという内容についてはF-22は認めないと反発しているとのことです。

具体的な内容として空軍は42機のA-10、57機のF-15CおよびDモデルを退役させることを提案。これにより空軍が保有するA-10の218機に、F-15C/Dの総数は92機に減ることになります。

A-10については空軍側は将来の戦争で運用した場合、撃墜される可能性が高く生存できないと主張しており退役は必然的だとしています。F-15についてもアップグレードされていない初期モデルは退役させたほうがいいとしています。

そして32機のF-22です。米空軍はこの32機はブロック20という規格で製造されたモデルの一部になっているのですが戦闘能力がありません。多くが訓練機のような状態となっており、2022年春に33機を引退させることを同じく議会に提案した資料として、このF-22に戦闘能力を持たせるには今後8年間で18億ドルの費用がかかると主張しています。しかしこのような費用がかかるにもかかわらず空軍側の主張をはねのけ退役は認めないとしたものの米空軍側は再び退役させるよう求めているとのこと。

アメリカ空軍は想定される様々な戦闘機から爆撃機、これら作戦を支援する大型の機体を複数保有しており引退の有無については現場側の空軍と米議会側で意見や主張が異なるということがこれまでも発生しています。
今後は人工知能を搭載した高性能な無人機やF-35といったより高性能な機体が配備されるため既存の機体は性能面で大幅に強化されていることも事実です。特にハイレベルな戦場で勝ち抜くためには古い機体は実戦配備から退役させるという案が強まるものと思われます。