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アデン湾へ続く重要な航路になっているバブ・エル・マンデブ海峡。この海峡はイエメンとジブチの30km程度の距離しかないのですが、この海域ではイエメンの反政府勢力フーシ派による対艦ミサイル攻撃などが頻繁に行われています。なぜアメリカ軍は反撃を実施しないのでしょうか。

先日、この海域付近で海賊に拿捕されそうになった民間船舶に対し救助活動を行ったところイエメンのフーシ派からイラン製と考えられる弾道ミサイル攻撃が行われ海上自衛隊の艦艇も海域から離れるという異例の事態が発生しました。

Why Hasn't The U.S. Struck Back After Red Sea Anti-Ship Attacks?
https://www.thedrive.com/the-war-zone/why-hasnt-the-u-s-struck-back-after-red-sea-anti-ship-attacks

もちろん当時はアメリカのイージス艦が主体となりこの対応にあたっていたのですが、このイエメン周辺海域で連日のように発生している西側の艦艇に対するミサイル攻撃に関してなぜバイデン政権、アメリカ軍は全く反撃しようとしないのでしょうか。

その理由は単純です。このイエメンに対する攻撃が結果として中東に広がる可能性を恐れているためです。記事ではこのイエメンに対する反撃によりこの中東地域で面倒なことになる可能性が高く、実際にイスラエルもこれまでフーシ派に何度か攻撃されているもののイスラエル側から反撃するようなことは現時点では行っていないとしています。

要するに背後にイランが存在している中東地域におけるハマスを含むテロリストに対する攻撃については中東地域に点在するアメリカなどの軍事拠点への攻撃にも繋がる可能性が高くこれら軍事資産を守る準備ができているとも言えず、結果として現在の防御に徹する方がコストパフォーマンス的にもアメリカ軍の体力的にも楽だと見ているという内容です。

しかし、アメリカ軍としては既にこの海域に対して空母打撃群を配備していることからも矛先は常に中東地域に向いていることも表しています。要するに本気で攻撃してきた場合フーシ派は地上から殲滅する戦力となっており「やるならやるで自分の命をかけて攻撃してこい」という覚悟を試しているとも言えます。

この中東地域特にイエメン周辺での軍事的な緊張というのはハマスがイスラエルに侵攻する以前から既に発生しているものであって現在の状態は言い換えれば状態化しています。アメリカ軍としては日常よりもちょっと頻度が多い程度として見ている可能性があります。