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主に原子力発電所の燃料として用いられるウラン。ウランは現在地中の鉱脈から取り出されるのですが、中国の東北師範大学の科学者は海中に含まれるウランを電気的に抽出する方法を開発したと発表しています。

原子力発電所の燃料として用いるウランについては現在そのほぼすべてが陸上に埋蔵された鉱脈から取り出されています。その推定量は800万トンあり一応今後数世紀にわたって原発で用いるウランとしては十分な量があると言われています。

いっぽうでそれよりも多くの量が埋蔵されているのは海です。この海には推定で40~45億トンものイオン化したウランがありその量は陸上の軽く1000倍となっています。これまでウランイオンを取り出す研究はされていたものの非常に高コストで陸上の3~10倍ほどかかるとされ割に合わないという状態が続いてました。

Self-Standing Porous Aromatic Framework Electrodes for Efficient Electrochemical Uranium Extraction | ACS Central Science
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acscentsci.3c01291
Electrified cloth extracts uranium from seawater
https://newatlas.com/science/electrified-cloth-extracts-uranium-from-seawater/

今回中国の研究チームは炭素繊維で織られた柔軟な布を開発。2つの特殊なモノマーで布をコーティングし重ね合わせたといいます。次にこの布​地を塩酸ヒドロキシルアミンで処理。モリマーにアミドキシム基を付加しました。このような加工を施すことで布に天然の多孔質構造ができウラニルイオンを容易に捕捉するための小さなポケットを多数作ることができたとのこと。

研究では海水またはウランを人工的に添加した海水を用いて布に陰極、グラファイト側に陽極の電気をながし電極間に周期電流を流したといいます。結果、時間の経過とともに明るい黄色、つまりウランベースの沈殿物が布状に引き寄せられ蓄積していたとのこと。

結果としては渤海の海水を使用したものとして、24日間の稼働で水1グラムあたり12.6mgのウランを抽出できたとのこと。この結果の信憑性についてはなんとも言えないのですが、電気化学を使用したイオンを捕捉は単純にイオンを布の上に自然に蓄積させるよりも約3倍速くなったとしています。研究者らはこの研究は海水からウランを回収する効果的な方法を提供し核燃料の新たな供給源として海洋を開拓する可能性があると述べています。