地下などに埋設したチューブの中を高速移動するハイパーループ構想。発表当時話題になったものの現在はほとんど耳にしないこの企画に関して事実上終了となり2023年末をもって従業員も含めて全員解雇になると報じられています。
チューブの中を人や荷物を載せた車両を時速1200kmで走らせるという、実業家のイーロン・マスク氏が提唱したオープンソース企画「Hyperloop(ハイパーループ)」構想の事業化を目指していた「Hyperloop One」が、全資産を売却した上で残っている従業員も2023年の年末をもって解雇する予定になっていることがわかりました。ハイパーループはスペースXなどで知られるイーロン・マスク氏が2013年に提案し以降開発が進められ実際に実験線なども作られていたものになります。案としては真空にしたチューブの中を移動する有人の旅客列車のようなもので、新幹線やリニアモーターを大幅に超える最高速度1220km/hというほぼ音速で移動するというものになっていました。
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当初の想定によるとロサンゼルスとサンフランシスコ間(全長610km)にかかる建設コストは75億ドル(当時7100億円)。建設には20年以上が必要とされ仮に想定した速度を出せた場合として0.5Gの加速度でこの間を30分で繋ぐことができるとしていました。
▼当初の想像図
しかしチューブ内を真空にしなければならずこの技術が難しいとされていました。もちろん真空状態にして速度を実現できる前提になっており減圧されたチューブ内の僅かな空気で車体を浮上させるという案で開発が進んでいたもののこちらも実現は難しいとして撤回。永久磁石を使用した磁気浮上式鉄道の原理を取り入れた案に変更するなど仕様が二転三転していました。
未来の乗り物として注目を集めてたのですが、少なくとも2020年以降はほぼネット上で報じられることも無くなっていたのですが、記事によると2022年初頭時点で200人以上の従業員がいたものの現在は大半が解雇されている状態で事実上計画は終了となっています。また開発中の動画などもすべて非公開・削除されており終了している様子が伺えます。
▼僅かな電力で動かせると主張していた
このような真空のチューブ内を列車などが走る構造については1848年にイギリス国内で試験と7ヶ月間の運行が行なわれたものの当時の蒸気機関の3倍近いコストがかかったという理由で廃線。このような技術はチューブそのものの強度や内部を真空を保持する方法、真空状態が何らかの理由で維持できなくなったときの安全性、さらに駅における真空と大気圧の調整などの技術が解決できず難しいのではないかと発表時点で指摘されていました。