ゲパルト自走対空砲_1

ウクライナを巡る大国と小国の戦争。テロとの戦争とは異なり双方が軍事兵器をぶつけ合うという最近の戦争の中でも最大規模となっているのですが、いったいどのような現代戦がみえてきたのでしょうか。

現代の兵器は高度な情報収集、第二次世界大戦中の戦艦の装甲すらも貫通できてしまうほど恐ろしいほどの貫通力を備えたミサイルや戦車砲が運用されています。時代の変化と共に消える兵器、新しく生まれた兵器が戦場では運用されているのですがではこのロシアによるウクライナ侵攻ではいったいどのような兵器が必要とされているのでしょうか。

ロシアの軍事系サイトによるとその一つに榴弾砲や多連装ロケット砲があるといいます。
榴弾砲

HIMARS

こちらの写真は上がいずれもアメリカのM777榴弾砲、下はハイマースとして知られる多連装ロケット砲です。ロシア系メディアによると、現在榴弾砲と多連装ロケット砲が今回の戦闘で最も重要な役割を果たし始めたと主張しており、確かに運用する砲弾やミサイルは高精度な命中精度を誇るGPS誘導なども重要なものの、従来のように無誘導による大量の発射も有効だとしています。

ゲパルト自走対空砲

再び注目されているのは自走対空砲です。これは戦車といった車両をベースに砲塔に連射できる機関砲やレーダーをとりつけた機関砲で比較的短距離で敵機を探し当て実弾を用いて敵機を撃墜します。もともとこのような対空砲は低空の対象を目的に迎撃するよう開発されたものの現代は先進国であっても配備数は少なくなっています。

理由は現代は機関砲の射程程度であってもミサイルが運用され始めたことにあります。しかしウクライナでは大量の無人機が飛来し安価な1機を撃墜するのにその何倍も高いミサイルを運用しなければならない問題が発生しています。そのためウクライナ、ロシアともミサイルよりも実弾を発射する自走対空砲が復活しているとのこと。

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そして現代はアメリカや欧州各国も多分配備していない無人の自爆ボートです。この戦争では自爆する無人航空機が大量に使用されていますが、かつて開発され配備されていたものの時代と共に消えた自爆ボートもロシア軍に被害を与えています。

この自爆ボートは古いものでは古代ギリシャから第二次世界大戦前後まで使用されていました。しかし第二次世界大戦では攻撃がほとんど成功しなかったことを受けて、その後対艦攻撃は魚雷・対艦ミサイルにシフトされ正規配備はされていませんでした。

しかし、ウクライナ軍は上記のボートであれば航続距離が800kmあり衛星通信で無人誘導される自爆ボートによりロシア軍の艦艇への攻撃に成功しており、以降も頻繁にロシア海軍を襲ってます。これは黒海という海域特有の問題もありそうなのですが、このような現代戦では考えられなかったような兵器が再び注目されています。

共通するのは無人で安価な兵器

兵器というのは常に人や人が運用する物を破壊するために運用されているのですが、考え方の根底にあるのはできるだけ安価にさらに効率的に殺傷できるかです。もちろん戦時中は作りやすさも重要であり現代のウクライナでは非常に古い電子パーツを搭載していないような兵器から最新の無人ドローンまで双方が運用しています。

これが現代戦のすべてではないものの第二次世界大戦以降高度に発達した兵器は一部先進国が運用できる一方でそのような兵器を持てない国は冷戦時代に取り残されたような格差が生まれてました。しかし、ウクライナを見てもわかるように高度な兵器は確かに運用はしているものの戦線を支えているのは高価な兵器というよりも安価で扱いやすく、かつ大量生産でき配備できるような古典的な兵器や無人兵器をであることは間違いなく、これがウクライナとロシアの現代戦を特徴づけるものと考えられます。

ただしこれも正解とは言えず結局はどのような国・組織が戦うのかで印象も使用される兵器もまた変わっていきます。したがって、ウクライナとロシアの現代戦は一例にしかすぎず確実に相手を破壊できるような高度かつ高価な兵器というのは常に開発され続けていくということになります。