60歳から85歳までの男女43人を対象とした少ない実験結果として、毎晩寝る前に寝室に異なる種類の香水の匂いで満たすことで、認知機能の低下や認知症などの症状が遅くなる可能性があることが示唆されたとしています。

Frontiers | Overnight olfactory enrichment using an odorant diffuser improves memory and modifies the uncinate fasciculus in older adults
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnins.2023.1200448/full
Brain Function Dramatically Boosted by Certain Fragrances During Sleep : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/brain-function-dramatically-boosted-by-certain-fragrances-during-sleep

うち20人の被験者はローズ、オレンジ、ユーカリ、レモン、ペパーミント、ローズマリー、ラベンダーの香りを含む天然オイルを使用し、分けた別のグループには微量の臭気物質を含む「偽物」の匂いで寝室を満たしました。方法としては毎晩2時間、ディフューザーを使ったとしておりこれを6ヶ月間実施しました。

双方のグループの経心理学的検査を行い試験前と半年後の後で記憶力、言語学習、計画性、注意切り替えスキルを比較しました。結果、天然オイルを使用したグループは偽の匂いで就寝したグループに比べ最大で226%もの差(スコア差？)があったとしています。被験者の脳をMRIスキャンしたところ被験者の記憶と思考に重要な脳の領域を結び付ける解剖学的構造に大きな変化があったことが明らかになったとしています。

被験者は全員が認知症などはなく心身ともの健康だったとしています。

なぜ単純な匂いだけで記憶などに大きな影響を与えたのかについて研究を行った神経生物学者のマイケル・ヤッサ氏は「嗅覚には脳の記憶回路に直接接続されているという特別な特権がある」としており、予想としては生活環境を匂いで豊かにすることで神経可塑性を刺激する可能性があり、過去に行った神経障害に対する人間と同様の症状を持つ動物でもやはり同じような結果が得られているとしています。

結論として夜間に最小限の嗅覚強化を行うと認知機能と神経機能の両方が改善されました。研究者によると嗅覚の強化は脳の健康を改善するための効果的かつ安価で低労力の方法を提供する可能性があるとしています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。