特に高齢者が患う認知症。問題なのは根本的に何が原因で発症するのかがよくわかっていないことです。一方で環境で発症するというよりも、何らかの感染症が原因で発症するという研究がアメリカの研究者が論文を発表しています。
これまで認知症を引き起こすアルツハイマー病は脳内で異常なタンパク質が溜まり、これが悪さをして脳を結果的に萎縮させることがわかっています。しかし、この異常なタンパク質がなぜ溜まってしまうのか、根本的な何かがトリガーになっていることが強く疑われているのですがその原因がわかっていません。
これまでも大気汚染説をはじめとした環境由来説や歯周病菌をはじめとしたウイルスや細菌感染説が出ていたのですが、今回は後者のウイルス・細菌感染説になります。
A Study of 500,000 Medical Records Links Viruses to Alzheimer's Again And Again : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/a-study-of-500000-medical-records-links-viruses-to-alzheimers-again-and-again
Virus exposure and neurodegenerative disease risk across national biobanks: Neuron
https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(22)01147-3?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0896627322011473%3Fshowall%3Dtrue
この論文はニュートンに昨年1月に掲載されていたものでアメリカのアルツハイマー病および関連認知症センター (CARD)、国立老化研究所および国立神経障害・脳卒中研究所、国立衛生研究所所属の6名の研究者から発表された論文です。
結論から紹介すると約45万人を対象とした研究では脳の神経変性状態と22種のよく耳にするようなウイルスに関連性があることを発見したというものです。その多くは脳炎や肺炎などの重度のウイルス感染症がパーキンソン病やアルツハイマー病などの発症率リスクを極めて増加させる例がわかったというものです。
例えばウイルス性脳炎と呼ばれる脳の炎症の一種の治療を受けた経歴がある人はそうでないい人に比べアルツハイマー病を発症する可能性が31倍も高かったこと、またインフルエンザにかかった後に肺炎で入院した人はアルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった症状を発症しやすいこともわかりました。更に腸感染症と髄膜炎、帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスもいくつかの神経変性疾患の発症に関与している可能性が示唆されました。
ただし、なぜこのような異なるウイルスが結果的に認知症を引き起こすアルツハイマー病を引き起こすのかその仕組までは記事上に記載は内ものの、論文では「ウイルスが末梢神経を介して、または血液脳関門を通過することによって中枢神経系に侵入する可能性があることを意味します。これらのウイルスが脳の炎症に寄与することで認知予備力(神経変性に対する回復力と複雑な精神的作業を実行する能力)を低下させ、神経変性疾患(NDD)のリスクを高める可能性があることを示唆しています」としています。
論文の研究者、アルツハイマー病および関連認知症センター所長のアンドリュー・シングルトン氏は「神経変性疾患(アルツハイマー病)は効果的な治療法がほとんどなく多くの危険因子がある病気の集まりです」とし、「我々の研究結果は神経系におけるウイルス感染とそれに関連する炎症がこの種(認知症)の疾患の一般的な危険因子であり、おそらく(ワクチン接種で重症化を回避することで発症を)回避可能な危険因子である可能性があるという考えを裏付けています」としています。
*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。
これまでも大気汚染説をはじめとした環境由来説や歯周病菌をはじめとしたウイルスや細菌感染説が出ていたのですが、今回は後者のウイルス・細菌感染説になります。
A Study of 500,000 Medical Records Links Viruses to Alzheimer's Again And Again : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/a-study-of-500000-medical-records-links-viruses-to-alzheimers-again-and-again
Virus exposure and neurodegenerative disease risk across national biobanks: Neuron
https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(22)01147-3?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0896627322011473%3Fshowall%3Dtrue
この論文はニュートンに昨年1月に掲載されていたものでアメリカのアルツハイマー病および関連認知症センター (CARD)、国立老化研究所および国立神経障害・脳卒中研究所、国立衛生研究所所属の6名の研究者から発表された論文です。
結論から紹介すると約45万人を対象とした研究では脳の神経変性状態と22種のよく耳にするようなウイルスに関連性があることを発見したというものです。その多くは脳炎や肺炎などの重度のウイルス感染症がパーキンソン病やアルツハイマー病などの発症率リスクを極めて増加させる例がわかったというものです。
例えばウイルス性脳炎と呼ばれる脳の炎症の一種の治療を受けた経歴がある人はそうでないい人に比べアルツハイマー病を発症する可能性が31倍も高かったこと、またインフルエンザにかかった後に肺炎で入院した人はアルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった症状を発症しやすいこともわかりました。更に腸感染症と髄膜炎、帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスもいくつかの神経変性疾患の発症に関与している可能性が示唆されました。
ただし、なぜこのような異なるウイルスが結果的に認知症を引き起こすアルツハイマー病を引き起こすのかその仕組までは記事上に記載は内ものの、論文では「ウイルスが末梢神経を介して、または血液脳関門を通過することによって中枢神経系に侵入する可能性があることを意味します。これらのウイルスが脳の炎症に寄与することで認知予備力(神経変性に対する回復力と複雑な精神的作業を実行する能力)を低下させ、神経変性疾患(NDD)のリスクを高める可能性があることを示唆しています」としています。
論文の研究者、アルツハイマー病および関連認知症センター所長のアンドリュー・シングルトン氏は「神経変性疾患(アルツハイマー病)は効果的な治療法がほとんどなく多くの危険因子がある病気の集まりです」とし、「我々の研究結果は神経系におけるウイルス感染とそれに関連する炎症がこの種(認知症)の疾患の一般的な危険因子であり、おそらく(ワクチン接種で重症化を回避することで発症を)回避可能な危険因子である可能性があるという考えを裏付けています」としています。
*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。