スターリンク1

現在世界をターゲットに衛星インターネットを構築しているスペースXのスターリンク。これに関して中国がアメリカに対抗するため独自に中国版スターリンクを構築するなどと発表していると報じられています。

地球低軌道に対して地上から通信を行える端末を設置することで基本的に電力さえあればどこでもインターネット接続が行えるという衛星インターネット『スターリンク』。インターネット回線の品質を支えているには地球低軌道に大量の衛星を打ち上げる必要があります。

これに対して中国では今年からスターリンクと同じように衛星インターネットを構築すると発表しました。規模はスターリンクよりかは少ないものの2万6000基以上の衛星を打ち上げこれを地球低軌道に投入します。衛星の管理および接続サービスは中国の国有企業が行うというものになっています。今後10年以内に配備を完了するとしており具体的になサービス利用料金などの詳細は不明です。

中国版「スターリンク」24年から構築 人工衛星2.6万基 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM25CBY0V21C23A2000000/

▼現在のスターリンク衛星
スターリンク

ツッコミだらけの中国版スターリンク

中国のここ10年の行動原理は非常に単純です。「欧米が持っているものを持てば一流の国家になれる」と思い込み後追いで行うというもので今回のスターリンクも文字通りのものになっています。

スターリンクはスペースXが行っている衛星インターネットサービスです。その維持はインターネット契約を行うことで消費者が支払う月額の利用料金からきています。月額を抑えるには人工衛星をいかに安く打ち上げ、維持できるかにかかってきます。最も高コストなのはその衛星打ち上げです。
世界で唯一実用型の再利用型ロケットを利用してるのは現時点で世界でスペースXのファルンコン9ロケットのみです。そのため自前で衛星を打ち上げが行える唯一の民間企業でありこれまで打ち上げたスターリンク衛星は既に2万6000基で今後も増えていく予定です。

このように安価な利用料金を実現するには第一に安価に衛星を配備することが求められます。現時点で中国は高コストのロケットしか保有しておらず同じ規模で展開すれば利用者の月額の支払いはスターリンクの少なくとも2倍程度は覚悟する必要があります。もちろん中国の場合はイジの張り合いと言う意味でスターリンクよりも安価に提供するものと考えられます。

中国版スターリンクは基本的に西側は使用できません。当然アメリカでは安全保障のリスクから利用は禁止されることは確実です。そもそもインターネットという企業も含めライフラインの一つを中国の国有企業、つまり中国共産党に通信内容を噛ませるということ自体がお花畑であり、ありまともな思考ををもっている国家・企業・個人であれば行いません。もちろん何か中国と国家間トラブルがあれば日突然終了させらることも確実です。その程度の回線です。

その前にスターリンクが間違いなく高品質であるためわざわざ中国の回線を利用する価値もゼロであり選択肢にすら入りません。さらに通信内容は中国の検閲が間違いなく入るためその回線を使用する情報のやり取りを行うこと自体がリスクです。

この中国版スターリンクが利用できるのは危機意識がゼロ並の日本をはじめ中国の顔色を伺う国、発展途上国を中心に展開していくものと考えられます。