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東にロシア、西にバルト海。北欧に位置するそれぞれ隣国のエストニア、ラトビア、リトアニアの3カ国はロシアの軍事侵攻に備え塹壕をメインとした要塞を共同で建設するプロジェクトに署名したと発表しました。

The War Zoneによると、エストニア、ラトビア、リトアニアは2024年1月19日、ロシアおよびベラルーシとせっする国境沿いに約450マイル、724kmの国境沿いに共同防衛要塞を建設する協定に署名したと報じています。

Baltics To Build Joint Fortifications Along Russian, Belarus Borders
https://www.thedrive.com/the-war-zone/baltics-to-build-joint-fortifications-along-russian-belarus-borders

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エストニアのペブクル国防大臣は「対機動防御施設(要塞)の建設は慎重に検討されたもので、考え抜かれたプロジェクトであり、その必要性は現在の治安状況から生じている」と述べています。その状況とは「ロシアのウクライナ戦争はエストニアを守るには装備・弾薬・人員に加えて、国境に物理的な防御施設も必要であることを示した」と説明しています。

つまり、ロシアと陸続きになっているウクライナは他人事ではなく自らにも発生しうる可能性が高いとして共同で建設を発表した流れになります。

コンクリートを用いたT地塹壕

今回の発表では費用、要塞の具体的な場所、建設スケジュールは発表されませんでした。理由は軍事的なことから表に出すようなものではないためですが、どのような要塞になるのかは図が示されました。

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建設されるのはこのような地下に掘り下げた塹壕の先に武器などを保管する小さい部屋を備えた要塞になります。

また声明として「平時は爆発物、切断ワイヤー、その他の障害物は保護区域内に置かれない」とし、あくまで塹壕は有事の際に利用されるものだと説明。これらは地元の協力のもと、さらに地権者の理解と合意の元実施されるとしています。

合わせてアメリカの多連装ロケットランチャーHIMARS、M142ロケットシステムの導入も進めるとし発表しています。

ウクライナとの戦争では各地に古典的な塹壕が作られそれが有効に働いていることが確認されています。アメリカ軍でも塹壕を攻略するような戦闘訓練を今でも実施しており、このような地面を掘り下げて作る構造は現代戦においても極めて有効であることが確認されています。

また一度占領されたところを反撃し開放するには相当な軍事力が必要であることも証明されました。それを学んだロシアが次に攻め込む際はより効率的に行うことは確実であり、まずは領土を占領されないように時間を稼ぐ目的でもこのよな施設は必須の装備と認識しているものと考えられます。