
先日、日本のJAXAが打ち上げた小型月着陸実証機SLIM(スリム)が月面着陸成功させた件について、この探査機に搭載した2つのメインエンジン(OME) 二液式500N級スラスタのうち1つが破損した状態で着陸していたことが明らかになりました。
今回世界で5番目の無人月面着陸に成功させたSLIMについて、その着陸精度が他国とは桁違いに高精度だったことが注目されていますが、一方でその極めて重要な減速に使用する2つのメインエンジン、二液式500N級スラスタが月面から高度50mの時点で1基が破損、1つのエンジンで着陸しなければならない事態が発生していました。
こちらがメインエンジンこと500N級スラスタの位置です。

そしてこちらが実際に撮影された探査機です。このようにエンジンノズルの1つが確認できず吹き飛んでいることが確認できます。

JAXAなどの説明によると「高度50m付近でホバリング中に推進系に異常が生じた」としており、X側に搭載したエンジンでトラブルが生じたと説明しています。
そして破損したエンジンノズルがSLIMに搭載された航法カメラというものに偶然撮影されていたことも明らかになっています。

こちらがその画像になるのですが、右下の6秒後に撮影したした写真の中央に搭載していた500N級スラスタの証拠となる破損したノズルを撮影することに成功しています。

こちらが搭載した二液式500N級スラスタです。このように撮影した画像とノズルの形状が同じであり根本付近から破断したことが推定されているとJAXAは説明しています。
一方でなぜ今回エンジンノズルが破断したのかについてはよくわかっていません。JAXAによると、当時エンジンは打ち上げから事故発生前まで合計8回の加減速などで燃焼していたこと、さらに破断前までトラブルは確認されておらず燃焼はしていたものの最大出力ではなく低負荷燃焼で発生したとしています。
したがって、JAXAとしてはエンジン自体でトラブルが発生したのではなく、何らかの外的要因がありエンジンに波及した可能性が高いとしています。この外的要因というのは『エンジンそのものの不具合や欠陥ではない』という意味と考えられるのですが調査中であり詳細は不明です。
いずれにしてもこのようなトラブルが生じている中でも高精度の着陸を成功させるという対応能力については相当なものであり高く評価されているものと思われます。
したがって今回の問題が『何らかの外的要因がありエンジンに波及した可能性』はゼロではないものの、根本的にこのエンジン、特にノズル形状やその耐久性、さらに地球の重力圏を外れるような環境の宇宙空間で長期間運用するときにトラブルが発生しているということになります。またこのエンジンの品質についても打ち上げまでの期間、ロット、保管期間や状況なども考慮する必要があります。
この2つが偶然なのかは不明ですが、いずれにしても二液式500N級スラスタは本来は絶対に壊れてはいけない箇所で2回壊れていることが確認されており、何らかの潜在的な欠陥があることが高いことは疑わなければならない事態になっていると考えられます。
二液式500N級スラスタは今後の探査機でも搭載が予定されておりミッションを左右する極めて重要なパーツの一つであるため形状を強化するなどまずは根本的な解決策が求められます。
こちらがメインエンジンこと500N級スラスタの位置です。

そしてこちらが実際に撮影された探査機です。このようにエンジンノズルの1つが確認できず吹き飛んでいることが確認できます。

JAXAなどの説明によると「高度50m付近でホバリング中に推進系に異常が生じた」としており、X側に搭載したエンジンでトラブルが生じたと説明しています。
そして破損したエンジンノズルがSLIMに搭載された航法カメラというものに偶然撮影されていたことも明らかになっています。

こちらがその画像になるのですが、右下の6秒後に撮影したした写真の中央に搭載していた500N級スラスタの証拠となる破損したノズルを撮影することに成功しています。

こちらが搭載した二液式500N級スラスタです。このように撮影した画像とノズルの形状が同じであり根本付近から破断したことが推定されているとJAXAは説明しています。
一方でなぜ今回エンジンノズルが破断したのかについてはよくわかっていません。JAXAによると、当時エンジンは打ち上げから事故発生前まで合計8回の加減速などで燃焼していたこと、さらに破断前までトラブルは確認されておらず燃焼はしていたものの最大出力ではなく低負荷燃焼で発生したとしています。
したがって、JAXAとしてはエンジン自体でトラブルが発生したのではなく、何らかの外的要因がありエンジンに波及した可能性が高いとしています。この外的要因というのは『エンジンそのものの不具合や欠陥ではない』という意味と考えられるのですが調査中であり詳細は不明です。
いずれにしてもこのようなトラブルが生じている中でも高精度の着陸を成功させるという対応能力については相当なものであり高く評価されているものと思われます。
過去に同じエンジンのノズルが吹き飛ぶ事故
実は二液式500N級スラスタは過去にも同様の事故を発生させています。それは金星探査機『あかつき』です。このあかつきにも500N級スラスタを搭載していたものの今回と同じように、ほぼ同じ箇所と考えられるところでエンジンノズルが破断、重要な推力を失うという重大なトラブルを発生させています。したがって今回の問題が『何らかの外的要因がありエンジンに波及した可能性』はゼロではないものの、根本的にこのエンジン、特にノズル形状やその耐久性、さらに地球の重力圏を外れるような環境の宇宙空間で長期間運用するときにトラブルが発生しているということになります。またこのエンジンの品質についても打ち上げまでの期間、ロット、保管期間や状況なども考慮する必要があります。
この2つが偶然なのかは不明ですが、いずれにしても二液式500N級スラスタは本来は絶対に壊れてはいけない箇所で2回壊れていることが確認されており、何らかの潜在的な欠陥があることが高いことは疑わなければならない事態になっていると考えられます。
二液式500N級スラスタは今後の探査機でも搭載が予定されておりミッションを左右する極めて重要なパーツの一つであるため形状を強化するなどまずは根本的な解決策が求められます。