超大型ロケットとなる『スターシップ』。最新鋭ロケット(宇宙船)を米軍が強い興味を示していることは実は今に始まったことではありません。なぜ米軍はスターシップに興味を示しているのか今回は明らかになっていない意図を性能などから妄想していこうと思います。(前編はこちら)
前編ではどのような打診を受けたのか、性能などを中心に紹介しましたが今回は米軍がスターシップを利用したいという意図を考えてみようという内容です。
本当にロケットを輸送機として使うのか…?
現在アメリカ軍は世界各地の友好国、同盟国に基地を展開し迅速に部隊を展開できる唯一の国家です。これは中国やロシアとは大きく異なります。C-17輸送機を用いた空輸であれば数時間以内に展開できるとされているのですが、実際は異なり地球上の任意の場所に輸送するには目安として18時間ほどかかるとされています。
そこで最大100トンのペイロードを輸送機ではなくロケットを使って輸送するという案はどうなのか。これについても疑問があります。輸送機は基本的に滑走路があれば未舗装であっても離着陸できる能力がある一方でスターシップは必ず整備された離発着場が必要で燃料はジェットエンジンよりも遥かに扱いにくい液化天然ガスや液体水素といった超低温の液体燃料を貯蔵するしなければなりません。運用面は航空機に比べると複雑になります。
▼このような発射場に液体燃料などを保管しなければならない
▼このような発射場に液体燃料などを保管しなければならない
さらにロケットに貨物を搭載するとしても時間がかかるため輸送機のようにいつもで発進させることができるのかという疑問があります。
そしてこのような特殊な兵器として宇宙船を運用するといっても輸送機は様々な用途で使える一方でスターシップはそうではありません。あまり高価で複雑なシステムであるため使用回数も少なく用途も限定されてしまうという問題があります。つまりコストパーフォーマンスが著しく悪く、使いにくいシステムになる可能性があるというものです。
▼旧スターシップモデルによる弾道飛行による人員輸送案。スターシップの誕生とともに公開されたものの実用性は疑問がある(特に騒音問題から陸から30kmほど沖合に発射場を建設する必要があるとされる)
そしてこのような特殊な兵器として宇宙船を運用するといっても輸送機は様々な用途で使える一方でスターシップはそうではありません。あまり高価で複雑なシステムであるため使用回数も少なく用途も限定されてしまうという問題があります。つまりコストパーフォーマンスが著しく悪く、使いにくいシステムになる可能性があるというものです。
▼旧スターシップモデルによる弾道飛行による人員輸送案。スターシップの誕生とともに公開されたものの実用性は疑問がある(特に騒音問題から陸から30kmほど沖合に発射場を建設する必要があるとされる)
宇宙…月へ
このような使いにくさが想定されるのですがそれでも米軍がスターシップに興味を示しているのかは不明です。
実はスペースシャトルの開発についても軍事任務が行えるように設計されていたことはあまり知られてません。スペースシャトルについては複数ある設計過程で衛星を宇宙空間に配置するための高い搭載能力が欲しいという国防総省の要求がありました。そして再使用できる機器を持つ宇宙船を開発することによって宇宙開発予算を削減したいというニクソン政権の要求にも応えるためあのような形になっています。
スペースシャトルの性能としては極軌道から一周回で離脱するという空軍の秘密計画に対応できるような飛行範囲を持たせた設計がされていたとされています。結果としてこのような軍事任務が行われたことはないと考えられるのですが、軍が特殊な機体に強い関心を示したり介入するということは過去にもありました。
スターシップについては派生型が将来的に月面着陸を行うことが想定されておりこちらについても米軍が強い関心を示してる可能性があります。つまり月面やその軌道上に何らかの軍事用途に使うという将来を見越している可能性は十分に考えられます。
いずれにしてもスターシップのように極端に性能の高いロケット・宇宙船というのはこれまで開発されたことがなく米軍が強い関心を示すというのは必然のようにも思えます。スターシップのように巨大なペイロードを搭載できるロケットは私達が想像する以上の軍事上の利点があるということになります。
アメリカとしてはどこの国も持っていない宇宙輸送技術を確保することは必須であり、中国よりも先に宇宙での運用を習得すれば様々な面で有利な立場にいることができ先手を打つこと重要な要素になっているものと思われます。
いずれにしてもスターシップのように極端に性能の高いロケット・宇宙船というのはこれまで開発されたことがなく米軍が強い関心を示すというのは必然のようにも思えます。スターシップのように巨大なペイロードを搭載できるロケットは私達が想像する以上の軍事上の利点があるということになります。
アメリカとしてはどこの国も持っていない宇宙輸送技術を確保することは必須であり、中国よりも先に宇宙での運用を習得すれば様々な面で有利な立場にいることができ先手を打つこと重要な要素になっているものと思われます。