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アメリカ陸軍が2018年ごろより将来の導入計画を向けて提唱、開発が始まっていたFARA、日本語では将来攻撃偵察機について当局によると20億ドル、日本円で2300億円程度費やしていたことが明らかになりました。

『FARA』というのは要するに、『攻撃偵察ヘリ』という機種の導入計画を陸軍が発表し既にシコルスキーとベル社が開発を行っていたものの、「再編だ」などという理由でにより破棄されたことについてです。

もちろんこの2社には先進的なヘリコプターを開発するためとして陸軍から開発費を渡されていたのですが、結果として一連の計画でこれまで消費した金額は20億ドル、日本円で2300~2400億円程度となったとしています。
この額というのは現時点までの数値であり、FARA計画では今後5年間だけで50億ドル、現在の価値で6000億円を要求していたといいこのような莫大な額も理由の一つとなり計画は中止となりました。

もう少し詳細を説明すると2000機以上生産され配備されたOH-58 カイオワという観測・軽戦闘ヘリコプターがあったものの後継機が決まらないまま退役。その役割を他のヘリが担いつつ1982年から2000年ごろまで、さらに2004年~2006年ごろまでの既に2回後継機の開発計画が出されたもののいずれも失敗。中止していました。そして今回も加えれば3回目の中止となったという状況です。

▼シコルスキーのレイダーX(二重反転式ローターと後部に推進用のプロペラを搭載する高速ヘリだった)
レイダーX

▼ベル インビクタス360 (長く飛び出たスタブウイングで揚力を稼ぐ。ステルス性能にも考慮した設計となっていた)
インビクタス360_2

具体的に今回はどこまで計画が進んでいたのかについてはベル・テキストロン社とロッキード・マーチン社のシコルスキー社のそれぞれの試作ヘリは今年後半にも初飛行計画が組まれており、相当開発が進んでいたということになります。

ただしこれら費用については必ずしも無駄になったということではなく、他の既存機に応用する形で導入されたり今後の新たな開発に役立つものになったことは間違いありません。

代替はどうするのか?

今回再編、特に攻撃偵察ヘリという存在については米陸軍としては既に時代にあっていないと考えていると思われます。前回紹介したように米陸軍としては低速・低空で任務を行うことになる攻撃偵察ヘリはウクライナにおける状況から高確率で撃墜されることは間違いないという現実を突きつけられており、特に中国などロシア以上の軍備が整えられている国家との戦闘では相当な被害がでることが予想されます。

そのうえで、今後の予算の使い道としては既存機となるブラックホーク、CH-47FブロックIIチヌーク貨物ヘリコプターの最新型に使用したり、将来の長距離強襲機(V-280のようなティルトローター機)、そして無人航空偵察能力を加速するための研究開発に費やすとしています。

いずれにしても航続距離も短く低速、低空で活動するヘリは非常に危険な任務となることが考えられ、特に前線で活動することが多い攻撃ヘリという種類についても将来的にドローンに置き換えられる形で消えていく可能性も高いと思われます。

参考