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中国海軍が配備している旧ソ連製の空母『遼寧』これをベースに国産開発した『山東』。いずれも艦首がせり上がったスキージャンプ甲板が採用されているのですが、先日この空母にJ-35というステルス機が搭載されていることが初めて確認されました。

Xに2月14日頃に投稿された内容として中国が初めて実戦配備した正規空母となる遼寧の飛行甲板上にJ--31の艦載型となるJ-35が搭載されていることが確認されたと軍事系メディアが伝えています。

Mockup Of China’s Stealthy J-35 Fighter Appears On Unexpected Aircraft Carrier
https://www.twz.com/sea/mockup-of-chinas-stealthy-j-35-fighter-appears-on-unexpected-aircraft-carrier

投稿されたない写真が加工されているのか否かは不明ですが、複数の角度で撮影されたものがでておりほぼ間違いないとされています。ただ搭載されていたJ-35が実機ではなくモックアップである可能性が高く、その理由として中国では甲板における試験は実機ではなくモックアップを使用することが多いためだとしています(アメリカでは逆に実機を使う)。

J-35

実機なのかモックアップなのかは写真からは定かではありませんが、いずれにしてもJ-35が初めてスキージャンプ甲板に搭載されたという事実についてはどのような見方がされているのでしょうか。

現在中国のスキージャンプを搭載した空母には唯一J-15を運用しています。これはロシアからコピーしたSu-33フランカーが元になっています。J-35についてはこれまでも艦載機として運用されるという見方はありました。しかし、この空母ではなく平らなカタパルトを搭載した現在建造中の003型空母以降と考えられていました。

なぜJ-35がカタパルトを搭載した最新の空母ではなくスキージャンプ型の空母に搭載されていたのかは不明です。そもそも運用する気がなければモックアップを搭載する必要がありません。写真撮影という可能性もあるのですが、予想では近い将来実機を用いた離着陸試験が行われる可能性が極めて高いと考えられ、これが003型空母での迅速な運用を始めるための運用前の訓練に位置づけられるの可能性もあります。

空軍型のJ-31、艦載型のJ-35

J-35の空軍型であるJ-31については元々中国瀋陽飛機工業集団が自己資金で開発した機体であり初飛行した2011年頃当初は軍に採用はされないだろうとされ、2012年に開催された中国国際航空宇宙博覧会では海外市場向けのステルス戦闘機のコンセプトモデルとして模型が展示されたことで「輸出目的の機体だ」という評価もされていました。

▼J-35のベースとなたJ-31


しかし2018年7月に中国メディア『参考消息』によると、中国人民解放軍の上級海軍役員の話としてJ-15(殲15)に代わる新しいタイプの艦上戦闘機を開発中であると語ったと報じています。

▼垂直尾翼などが改良されたJ-31(2016年12月23日)
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さらに2020年7月、環球時報の報道で新型艦上戦闘機が開発中とし2021年に初飛行する可能性があることが伝えられ、その機体がこの艦上戦闘機はJ-31(FC-31)の派生型である可能性が指摘されました。

▼試作機カラーのJ-35。前輪にはタパルトローンチバーなどと呼ばれる空母のカタパルトから射出するときに使用する装置が搭載され、カタパルト射出、つまり003型空母で運用を考えている可能性が強まった(過去の機体には搭載されていない)
J-35

2021年になると武漢にある003型空母を模した実験施設上にJ-31と似たモックアップが出現。さらに空母への搭載が強まり、J-35と呼び名を代え艦載機として現在に至るということになります。

ちなみにこのJ-31については2018年3月に2014年にパキスタン空軍のテストパイロットがJ-31の操縦を行ったという記事が掲載されていたことがあり、そこには当時の初期型モデルを操縦した感覚についてパイロットに質問しところ「NO、NO、NO…」と8回繰り返し否定的な態度をとっていたなどと中国メディアが報じていました。