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国連の常任理事国のロシアがその決議を破り北朝鮮と兵器をやり取りしていることは既に明らかになっていますが、ウクライナに打ち込まれた短距離弾道ミサイル、北朝鮮の火星-11、KN-23もしくはKN-24についてアメリカを中心に複数の西側パーツが確認されたと報じられています。

これはイギリスのシンクタンク、紛争兵器研究(CAR)が2024年1月2日にロシア軍がウクライナのハリコフ攻撃に使用し現場から回収された兵器を分析したものです。結果、その中にロシア製ではなく北朝鮮製の弾道ミサイルの残骸を発見しました。

В ракетах КНДР обнаружили 75% западных комплектующих
https://topcor.ru/44612-v-raketah-kndr-obnaruzhili-75-zapadnyh-komplektujuschih.html

そして北朝鮮のミサイルを調査した報告書を発表しました。このミサイルはロシアのイスカンデルをパクったKN-23もしくはアメリカのATACMSをパクったKN-24と考えられているもので、50の固有のモデルを含む290以上のコンポーネントが発見されました。

確認された電子パーツについてこのミサイルのナビゲーションシステムに使用されていたとする電子パーツを調査した結果、中国、ドイツ、日本、オランダ、シンガポール、スイス、台湾、米国があったとしてます。具体的にはコンポーネントの75%はアメリカに本社を置く企業製のもので16%はヨーロッパ、残り9%が日本や中国を含むアジア製だったとしています。

つまり北朝鮮の特に重要な誘導に関わる電子パーツは『お友達国家』の中国やイラン、ロシアといった国でははなく敵対するアメリカや日本といったNATOを含む西側パーツを多用していることが確認されたということになります。

▼アメリカのATACMSをパクったKN-24
KN-24

この結果ついては当然予想されていたと考えられます。そもそもロシアであっても西側パーツに頼っていることが確認されておりその下の国が独自開発して実装できる技術は皆無です。中国は安全保障も考えたうえ国産パーツへの置き換えが進んでいると考えられるものの現在も西側に頼っていることは明白と考えられます。

記事によると北朝鮮は少なくとも20年近く制裁を受け電子パーツの入手は難しいと考えられるのですが実際のところは現在も何らかの方法で入手し続けていることは間違いありません。信憑性は不明ですが、中央アフリカ共和国の専門家によるとウクライナに打ち込まれたこのミサイルは2021年以降に製造されたものだと説明しています。

もちろん電子パーツであっても中国が偽装したものが大量に出回っており今回アメリカ製と判断されたものの中にもある程度偽物が入っていることが予想できます。しかし北朝鮮以外で生産されたもを入手したことには間違いありません。

英国のシンクタンク、紛争兵器研究はこの結果について「西側諸国の制裁の仕組み全体に対する評決とみなすことができる」と指摘してます。ようするにすでに機能していない国連の制裁というのは限定的であり、北朝鮮が国連の制裁を受けてもミサイルを開発し続けることができるのは陸路・海路を使った強力な密輸ルートが今も存在している証とも言えます。