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中国でここ5年ほどの間進めてきたのはゴミの分別の義務化です。日本をはじめ先進国では燃えるゴミ燃えないゴミ、リサイクルなど一定の分別が行われているものの、中国では数年前の時点で分別という概念が放棄されたと報じられています。

中国の情報というのはここ最近、外に出てくることが少なく情報源も限られているのですが今回は数少ないレコードチャイナからです。まず中国におけるごみの分別というのは過去このサイトでもなんどが紹介しています。



簡単に紹介するとそもそも中国では1993年以降に『都市景観環境衛生条例』というものがありゴミの分別およびリサイクルによりゴミの量を減らそうという対策がとられました。しかしこの条例がでたものの分別されることはなかったとされています。

さらに2010年にごみの分別を徹底させるように分別指導員なる担当者を北京市だけでも2万人動員します。もちろんこれも失敗します。

そして2017年4月、環球時報(中国共産党機関紙傘下)が「北京市を含む46都市に対し20年までに生活ごみの分別を強制させるように指示した」と報じ2020年までに生活ごみの完全回収を目指し、ごみ処理問題の改善と一般家庭から出る生活ごみの分別への予算を大幅に増やす計画を立てました。

その流れで2019年に新たにゴミ管理条例の修正案が発表され北京では『北京市固形廃棄物管理規則修正案』というものが出されています。北京市のゴミ出しは4つに分類『生ゴミ』『有害ごみ』『リサイクルゴミ』『その他のゴミ』という単純なもので、家庭ごみについては分別収集容器にゴミ出しする必要があり、分別せずにゴミ出しするなど怠った場合は200元の罰金とし、中国で運用している個人の信用情報にもキズが付くとしています。

▼地面埋め込み式のゴミ箱
地中埋込み式ゴミ箱_1

21世紀になっても分別できない中国

知っている範囲ではこのような分別が行われていたのですが現在どうなったのか。もちろんすべて失敗しています。

今回のレコードチャイナの記事によると新型コロナウイルスの流行が始まった2020年には中国人のごみ分別に対する意識は高まり、人々はきれいな環境は皆の健康に有益だと考えそのためにごみの分別は対する積極性があったとしています。分別ゴミも「リサイクルごみ」「生ごみ」「有害ごみ」「その他のごみ」に分類されているといい2019年の内容とも合致します。

しかしごみの分別は2021年後半の時点で実行が困難になり2022年にはほぼ放棄されたとしています。

理由は何なのか。上海社会科学院のアンケートによると、上海市民の50.7%がごみ分別の最大の困難は分別基準が複雑すぎることだと回答。その理由は明確な指導の欠如に戸惑い手がつけられなくなったと記載されています。

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その他の問題としては分別の基準が非常に曖昧でマンションの住民の間でもその分別に他の住民と衝突することがしばしばあったといいます。つまり分別する意識は強いものの基準が人によってバラバラで面倒ごとが多くなったことが伺えます。

さらに回収にも問題があります。記事によると住人がごみをせっかく分別して出しても同じ回収車が分別したゴミを混ぜて運ぶことがあったといい分別の意味がまるでない状態があったとしています。

記事では確かにゴミの分別は崩壊した状態にあるとしているのですがどのような状況なのかは不明です。