海外メディアによると事故があったのはインド洋のザンジバル諸島にあるペンバ島です。具体的にどのような経緯で食べたのかレストランなのかバーベキューなのかも不明です。

実はこのペンバ島を含めアジアやアフリカなど一部地域ではウミガメを珍味などと食べる文化があるのですが、食中毒で度々死亡する事故が発生しています。
今回の事故について具体的どの種のウミガメを食べていたのかは不明です。その他の食中毒の可能性もゼロではないものの母親と子供３人を含む９人全員が死亡前に共通してウミガメを食べていたことが判明しています。他にも78人が入院しているとしておりレストランなどによる大規模な食中毒とみられます。

謎の亀毒、ケロニトキシズム

ケロニトキシズムについてはよくわかっていないことが多くあります。

ウミガメについては肉が子牛の味がすると珍味とされるのですが一方で食べるとケロニトキシズムという食中毒の一種を引き起こします。問題なのは一度発症すると致命的となる可能性があり解毒剤などは存在していません。

発病については繰り返し湯茹でしていないカメの肉を口にした後、数時間から1週間以内に異常が現れ始めます。子供は特に感受性が高く母親は発症しなくても胎児が死亡するなど影響がでます。
症状としては消化器系への影響には、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、嚥下障害、舌の異常、肝臓への影響などがあります。この肝臓については脂肪変化と壊死を引き起こすことがあり、他の臓器には胆嚢の腫れ、腎臓のうっ血、脾臓の肥大などがあります。

問題なのはこのケロニトキシズムは研究が不足しておりどのような原因でこのような症状を引き起こすのかよくわかっていません。標準的な病院の毒物検査では既知の毒素は検出されないとされ、動物実験として入院患者の胃内容物を与えたところこの動物は死亡したとしています。したがってケロニトキシズムには神経毒が含まれている可能性が示唆されています。

いずれにしてもウミガメには毒があるという認識でよいと考えられます。その毒は特定の海藻を食べることで食べることで体内に蓄積されるのではないかという研究があります。合わせて絶滅危惧種のウミガメについては逆に毒があると人々に認識させることで個体数の増加ができるのではないかといわれています。ウミガメは世界的な密猟の対象となっておりこれまで30年間で少なくとも100万頭以上が殺されたとされています。

ちなみにこの毒に関する事故はこれまでも複数発生しており確認されているだけで1840年から1983年の南アジア南東部地域だけで89人が死亡しています。ペンバ島だけでも2011年11月には7人が死亡しており全体的な死亡者数は遥かに多いということになります。