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人類に残された科学的な謎の1つとして、地球外に生命体は存在するのかという疑問です。当然存在することは確実ですが証拠はいまのところゼロです。これに関してNASAは世界で始めて早ければ2030年に生命体を検出することができると見られています。

NASAが今後打ち上げる探査機としてエウロパ・クリッパーがあります。この無人探査機は木星の氷衛星エウロパの軌道に投入します。着陸はしません。エウロパ・クリッパーはエウロパの地表25kmまで接近しこの地下から間欠泉のように吹き出す氷状の液体や地表のチリなどを収集し分析します。

このエウロパ由来の水・チリを分析する装置が探査機に搭載されており、質量分析計により細胞物質のほんの一部であったとしても生体サンプルを検出できる地球上での試験で結果が得られているとしています。具体的には、精度は氷粒の中の単一細胞と同じくらい小さなものであっても検出できるとのこと。

▼エウロパの間欠泉イメージ、地表から相当高い距離まで上っている
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このエウロパ・クリッパーに搭載されている質量分析計の試験はワシントン大学が行いました。研究ではアラスカに生息する少ない栄養成分でも繁殖可能な細菌スフィンゴピュクシス・アラスケンシスが用いられており、微生物は脂質膜に包まれ海面にスカムの層を形成し最終的には波しぶきとなって空中に浮遊していることが分かっています。
つまりエウロパ表面では地下から間欠泉のようなものが吹き出していることから、タイミングよく収集できれば同様に地球外生命体の痕跡を高い精度で検出できるということのようです。

エウロパ・クリッパーについては衛星の生命体を探すようなミッションで設計されていないのですが、質量分析計を用いることでこのような細胞を検出できる研究が進められています。あくまで現在の予定では2030年にエウロパに到達予定であり地球外生命体の痕跡が発見できれば教科書に載るレベルの大発見になります。