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近年開発が進められているのはミサイルや実弾ではなく、目に見えないレーザーといったエネルギー兵器です。アメリカはミサイルを撃破可能な高出力プロトタイプを開発しており、高度化する敵の対艦攻撃手段として導入を目指す考えです。

アメリカ海軍の2025会計年度の予算要求に含まれていたのは高出力マイクロ波(HPM)艦上防衛計画です。これは何かというと、飛来するミサイルを空中で使用不能にするエネルギー兵器で、現在アメリカ海軍では2023年頃より高出力マイクロ波兵器を開発していることが明らかになっています。

Navy's Rush To Test Microwave Weapons Tied To Anti-Ship Ballistic Missile Fears
https://www.twz.com/sea/navys-rush-to-test-microwave-weapons-tied-to-anti-ship-ballistic-missile-fears

具体的に高出力マイクロ波兵器とはどのようなものなのか。これはレーザー兵器のようにミサイルそのものをレーザーで破壊するというよりも強力なマイクロ波を照射しミサイル内部に搭載されている電子機器を混乱させることで無力化させる兵器になります。したがって飛来するミサイル以外にも電子パーツを搭載したドローンや小型船舶にも使用することができます。

特徴としてはこれらエネルギー兵器は銃やミサイルといった兵器システムと比較して1発あたりのコストが低く、物理的なリロードも必要なく瞬時にターゲットに届くため即応性に優れています。 欠点としてはHPMやレーザー兵器システムは理論的にはミサイルのような弾倉の大きさという制限は無いものの再発射には充電といった問題があり照射時間にも制限があります。大気や雨といった干渉による有効性の低下、マイクロ波兵器の場合、敵の電磁シールド対策より無効化されるなどの問題となります。

対艦ミサイル、弾道ミサイルの脅威

アメリカ海軍として脅威となるのは敵の対艦ミサイルや対艦弾道ミサイルです。中東地域でも実際にフーシ派からのミサイル攻撃に晒されており、迎撃ミサイルで撃墜したという報告は複数上がっています。



更に今後台湾への軍事侵攻などアメリカ海軍としはより高度な兵器を揃える中国の兵器に晒される可能性があります。中国は地上、空中、艦艇から発射可能な対艦弾道ミサイルを配備しており、アメリカ海軍はその射程内の活動が制限される可能性があります。

現在、高出力マイクロ波兵器であったりレーザー兵器が高速で飛来する弾道ミサイルなどに対応できているのかは疑問があります。一方でドローンや無人自爆艇といった長距離を無人航行する兵器も確認されており、安価なドローンに対して数千万円のミサイルを使うのか、という費用対効果の問題もります。照射すれば確実にターゲットに命中しやすくトラッキング精度に優れると考えられる安価なエネルギー兵器はドローン・ミサイル時代に必須装備になってくると思われます。

もちろんこれらエネルギー兵器が現在のミサイル兵器をすべて置き換えるという技術水準にはなっておらず、あくまで既存の装備の一部を置き換えたり新たに艦艇へ搭載するという追加装備と見ていると思われます。