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4月。新しい環境に入ったものの上司は部下に、部下は上司に、学校では先生に…と双方が怒りを感じる場面というのはあると思います。今回は怒りという感情を沈める方法について、どのように対応するべきなのか科学的に行なった研究結果を紹介していきます。

怒りという感情は私達のような生き物であります。問題はこの怒りという感情についてどのように沈めるのかについて過去オハイオ州立大学は154件の研究内容を分析した結果、周囲にぶちまけるなど何らかの方法で怒りを発散させるという『発散』という行動が効果的だったという研究はほとど報告されておらず、発散させるどころかその行動そのものが怒りを増幅させることになることも分かったとしています。つまり周囲にあたり散らすという行為は全く意味がないということになります。

Venting Doesn't Reduce Anger, But Something Else Does, Study Finds : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/venting-doesnt-reduce-anger-but-something-else-does-study-finds

科学者ブラッド・ブッシュマンさんによると「怒っているなら感情を吐き出さなければならないという、胸から感情を吐き出すべきだという『通説』を打破することが非常に重要だと思う」 「怒りを発散するのは良い考えのように聞こえるかもしれないが、カタルシス理論を裏付ける科学的証拠は欠片もない」としており、よく映画やドラマなどで描かれがちな怒りの分かりやすい表現は全く意味がないとしています。

「だったらどうすればいいんだ!早く書け!」と思っている方もいらっしゃると思いますが、バージニア・コモンウェルス大学のコミュニケーション科学者であるソフィー・キャルヴィク氏によると、さまざまな年齢、性別、文化、民族を代表する合計10,189人の被験者を用いた試験では、怒りを抑える鍵は怒りそのものあるいは怒りによって引き起こされる有益な身体活動による生理的興奮を減らすことであることを示していると著者らは述べている。

「なに理由のわからんこと言ってんだ!」と怒り心頭の方もいらっしゃると思いますが「怒りを減らすには覚醒レベルを下げる活動に取り組むのが良い」としています。怒りの覚醒レベルを下げる行為が重要になるということになるのですが、ボクシング、サイクリング、ジョギングから深呼吸、瞑想、ヨガについてそれぞれ調査した結果、覚醒を軽減する効果的な行為としては、スローフローヨガ、マインドフルネス、段階的な筋肉弛緩、横隔膜呼吸、タイムアウトなどが良かったとしています。

「ヨガは瞑想やマインドフルネスよりも興奮をもたらす可能性がありますが怒りを抑えるのも同様の効果があり、それは心を落ち着かせて呼吸に集中する方法です」としています。

要するに怒りという感情が生じた時に机をぶっ叩くなど何かをするというのではなく、一旦深呼吸して呼吸を整え冷静になることが重要ということなります。わたしたちは怒りにぶちまけて様々なことをやった結果、自らが取り返しのつかないことに繋がってしまう可能性もゼロではありません。
研究者も「心を落ち着かせるテクニックが怒りを抑えるための最良の選択肢となる」という趣旨の説明をしており、自らの心を冷静に制御することが結果として怒りを沈めることに繋がるということになりそうです。