MQ-58B(XQ-58A ED)

アメリカで開発が進む『安価かつ撃墜をある程度想定した無人機』安価損耗型攻撃実証機LCASDとして作られたクラトス XQ-58 ヴァルキリーに関して、海軍型のB型は電子戦装備を備えた敵防空制圧(SEAD) の役割を果たす目的として開発されることが明らかになりました。写真は電子戦装備を搭載したXQ-58A

XQ-58 ヴァルキリーは実験用のステルス無人航空機として開発されているものでモトはXQ-222などとよばれていたこともあります。機体はアメリカ空軍研究所が安価損耗型攻撃実証機として低コストかつ敵の防空網内活動できる機体として誕生したもので2019年3月に初飛行しました。

MQ-58B Electronic Attack-Enabled Version Of Valkyrie Drone For USMC Revealed
https://www.twz.com/air/mq-58b-electronic-attack-enabled-version-of-valkyrie-drone-for-usmc-revealed

したがって機体については実証機という位置づけになっているのですが、将来的はこの機体を一部改良するなどして量産する可能性があり、コストは1機あたりのコストは年間生産数50~100機で200万ドル~400万ドル、2億円~4億円となっています。

今回報じられたのはMQ-58Bです。これは空軍型のXQ-58Aの派生型で電子攻撃ペイロードを搭載した海兵隊仕様となっていることが明らかになりました。

2024年2月23日にエグリン空軍基地でF-35 2機とXQ-58A 1機が連携して飛行する写真が公開され、このXQ-58Aには統合電子攻撃(EA)能力を搭載しており、試験では能力を実証することに成功したとしています。具体的にはEAペイロードにより戦術的に関連する複数の対象ターゲットを自律的に検出、識別、地理位置特定し、エミッターターゲット追跡座標を送信し、複数のエミッターに対する非動的電子攻撃効果を提示することに成功したとしています。

海兵隊で初飛行したXQ-58Aは2023年10月にアメリカ空軍により確認されているもののMQ-58B が現在開発のどの段階にあるのかは不明です。

▼滑走路に依存しない機体


なぜ海兵隊がこの無人機に注目しているのかについてはXQ-58シリーズは滑走路を必要としないことです。機体はロケットモーターを使用してミサイルのように射出されパラシュートで落下します。そのためXQ-58の離着陸を行う面積というのは非常に小さいもので大規模な滑走路が必要となる従来の無人機とは運用方法がかなり異なるということになります。

したがって同じような運用を得意とするF-35Bと親和性が高く、例えば強襲揚陸艦からの発進させたりなど独自の運用を米海兵としても保有を考えている可能性が示唆されています。